2021年度 目路はるか教室

3Eコース

夢を持って自分らしく歩む

1983(昭和58)年卒業北里大学北里研究所病院 副院長(危機管理担当)・消化器内科部長・内視鏡センター長

中野 雅 氏(なかの まさる)

 昨年11月世話人である同級生の阪埜浩司さんから目路はるか教室講師の依頼を受けました。一足先に講師を務めた同級生の話を聞き、私も普通部後輩のみなさんにお話をする機会を持ちたいなと願っておりましたので、お話を頂いた時にはとても嬉しく、と同時に大変身の引き締まる思いでした。

 事前の自己紹介文を拝読する中で、みなさんの普通部生活にコロナの災禍が少なからず影響している現状に心を痛めました。その一方で苦しい現状をなんとか打破しようともがき、先を見据えようとしている皆さんを頼もしくも思い、「みなさんならこの苦境を必ず乗り越えることができる」と確信し、みなさんがこれからの人生に希望を持ち少しでも前向きな気持ちになれるようお手伝いが出来ればと考えながら授業の準備を進めました。

 第一部では私が小学校の卒業文集に医師になる夢を記した後、約40年にわたる私の歩みを紹介しました。私の学びの原点は温かく時に厳しかった両親の教えにあること、そして今は亡き小学校の恩師に導かれ、慶應義塾という素晴らしい学び舎で学ぶご縁を頂いたこと、普通部、高等学校でも多くの恩師や友人との出会いに恵まれ医師の道に進むことができたこと、医学部での学生生活、自らの専攻を決める際に悩んだ時のこと、医師として研鑽を積む日々、米国留学での様々な国々の人々との交流や家族の支えなど、当時を懐かしく思い起こしながらお話をさせて頂きました。第二部では消化器内視鏡の機器展示並びに実地体験の後、現在の勤務先である北里大学北里研究所病院で一消化器内科医として、専門とする消化器内視鏡の技術を駆使しながら、様々な消化器疾患の患者さんの診療に従事していることを紹介しました。第三部では感染防護具着脱の実地体験の後、病院を預かる責任者としてチーム医療のマネジメントや感染対策・医療安全管理など様々な危機管理の対応にあたり、特に2020年初頭からのコロナ禍の医療現場での奮闘を紹介しました。医療の現場に身をおきながら、私が日々どのようなことを感じ、何を大切にしながら医師として働いて来たのか、特に患者さんの命を預かる医療の現場において「準備の大切さ」と「当たり前のことを続けることの大切さ」をお伝えしました。医師がいなければ患者さんの治療は進まないかもしれません。でも医師の仕事は1人ではできません。信頼関係で結ばれたチームの存在が不可欠です。私は全ての職員に対する感謝の気持ちを忘れないよう肝に銘じて今後も医療の現場に立ち続けて行きたいと思っております。

 早いもので目路はるか教室でみなさんにお会いしてから1ヶ月余りが経ち、普通部の教室での風景を思い浮かべながらこの文章を記しています。今回目路はるか教室の講師を務めさせて頂いたことは、私にとっても自身のこれまでの歩みを振り返り、今後の人生を再考でする上で大変貴重な機会となりました。私の人生において大切な出会いがまた一つ増えました。

 みなさん、自らの将来は自らで考え、自らの手で切り拓いて行って下さい。夢を持って、自分らしく歩んで行って下さい。みなさんにしか出来ないことがきっとあるはずです。みなさんが見出したそれぞれの営みにはそれぞれの価値があります。最善を尽くして日々歩んで行く、大丈夫です、きっと何とかなります。感想文を拝読し、私の思いが多少なりとも伝わったのかなと感じ安堵しております。みなさんの今後の御活躍を心から願っております。

 最後に、第24回目路はるか教室の講師を務める機会を頂き、ご推薦頂いた世話人の阪埜浩司さん、事前準備の相談から当日の授業のサポートまで幅広くご支援を頂いた普通部教諭の皆様、当日の消化器内視鏡機器展示のサポートをして頂いたオリンパスの皆様、感染防護具の手配をして頂いた北里大学北里研究所用度課の皆様、そして何より私のコースを希望して下さった普通部3年生23名の皆様に心より感謝を申し上げます。

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