2021年度 目路はるか教室
2Cコース
みんなで作ろう!「あったらいいな、こんな教室」
1977(昭和52) 年卒業文祥堂、普通部剣道部社会人コーチ
加藤 記究 氏(かとう ふさみ)
この度、光栄にも「目路はるか教室」講師という大変貴重な機会をお与え頂いたことに、先ずは心より感謝申し上げます。生徒たちにどの程度お役に立ったのかは存じませんが、学校を離れ、銀座までお集まり頂き、生徒目線で『教室の未来像』をデザインしてもらったので、多少なりとも新鮮に受け止めてくれたのではないか、と思っています。
今、世の中では、働き方改革というお題目の元、各企業のオフィス環境は様々変化してきています。また、コロナという想定外の事象も発生し、否応なしに在宅勤務、リモートワークという新しい働き方が急ピッチで進みました。そんな中、大人たちは「リアルに対面しなくても仕事はできるのだ」ということを発見する一方で、「何が真に効率的で効果的な働き方なのか」という疑問にも直面しています。
実は教育現場でも同じことが起こっているのではないでしょうか。オンライン、リモートはこれからの学習現場では必須の道具となるでしょう。しかし、生徒たちにとっての「オフィス」、すなわち「教室」という場はどんなにオンラインやリモートが進もうとも欠かせないフィールドであり、より良い環境であることに越したことはありません。この教では、私が勤める会社のオフィスなどを参考に、生徒たちが求める教室の未来像をグループ毎にデザインしてもらったのです。
さすが普通部生ですね。いろいろなアイデアが出てきました。すぐには実現できそうもないものも多々ありましたが、実にユニークでした。その後みんなで発表しあい、アイデアを共有。とても良い議論ができました。
しかし、私は思います。どんなに環境を変えても、どんなに心地よい教室を作っても、大事なことは、器ではなく「そこを使用する当事者たちの取り組み姿勢」ではないのかと。教室のレイアウトはあくまでも道具にすぎず、それを変えたからといって生徒たちのマインドが自動的にアップするわけではありません。また、オンライン、リモートもいいでが、やっぱり「リアル」が大事である、という観点も忘れたくありません。人はリアルに接することで様々な意思疎通をしています。その中で、偶発的に良いアイデアも生まれるでしょう。今回はそのような課題にどこまで迫れたかは甚だ疑問ですが、多少なりともそのヒントを示せたのではないか、と思っています。
私は、普通部、塾高、大学時代に剣道部に所属、社会人になってからも細々ながら剣道を続けており現在、普通部剣道部の社会人コーチを拝命しております。そのため、部活の指導でしばしば普通部に出向いておりますが、今回は部活を通して見る普通部生とはまた違った姿を見ることができました。生徒たちがこれからも多方面に興味を持ち、活躍してくれることを陰ながら応援し続けたいと思っています。