2021年度 目路はるか教室
1Iコース
「逃げながら、寄り道しながら、楽しみながら、未来を創る人生を」
1997(平成9)年卒業Zホールディングス株式会社 執行委員 法務統括部長
妹尾 正仁 氏(せのお まさひと)
今回、第24回目路はるか教室で講師をさせていただくという貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
慶應義塾で幼稚舎から学ばせていただいた私にとっての普通部での3年間は、自分自身のやるべきことに正面から向き合えなかった、けれども仲間達と濃い時間を過ごせた、そんな期間だったように記憶しています。
そんな私が、いまの普通部1年生にお話したいくつかの言葉が、これからの普通部生活やその先の人生を送る中で失敗や後悔の残ることをしてしまう(であろう)彼らにとって、前向きに生きるためのヒントになったり、苦しいときの支えになったりしてくれれば、望外の喜びです。
今回の授業、その最後にお話した3つのことをご紹介します。
1つ目は「何をするかより、誰とするか」です。
「普通部の仲間を大切に、そして同じくらい普通部や慶應の外にできるだけ多くの仲間を作り、そしてその仲間との『三縁(結縁・尊縁・随縁)』を大切にしながら過ごして欲しい。」と伝えました。
「結縁」…縁を結ぶ事。人生で何万人という人との出会いがある中で、本当に一生付き合っていく人はせいぜい70人程度。大切な仲間と出会い縁を結ぶ事はとても大切である。
「尊縁」…結んだ縁を尊ぶ事。縁を結んだ相手との関係を常に尊んで生きていく。一度の人生の中、奇跡的確率で縁を結んだ人との関係を大切に、お互いを尊敬しながら生きていく。
「随縁」…結んだ縁に随って生きていくこと。自分が結んだ縁の流れに逆らわずに、その縁に身を任せていきていこうということ。
2つ目は、「人の夢を嗤わない」です。
「これからの人生の中では夢を諦めたり、夢が変わったり、なかなか夢を持てなかったり……色んな事があると思います。自分自身のことは焦らず、考えすぎないで大丈夫。ただし自分自身がどんな状況にあっても、仲間の夢だけは嗤わないで欲しい。特に周囲から『無理だ。』『変わり者だ。』と言われている仲間のことを、最後まで応援してあげて欲しい。」と伝えました。
3つ目は、「人生は思い出づくり」です。
「良いことも悪いことも、時が過ぎれば思い出話になる。だからこそ、どんどん新しい挑戦や馬鹿なことをして、思い出を創り出していく、そんな人生を送って欲しい。そのためのコツは、どんなことでも自分ごとと考えていくこと。」と伝えました。
結果として、授業の終了後に生徒のみなさんが書いてくれた感想文には、こうしたメッセージを分かりやすくするために「ここだけの話だから、感想文には書かないでね。」とコメントしてから話した、私の普通部時代の複数の失敗談が、たくさん記載されることとなりました。私の普通部時代の恥ずべき、反省すべき経験・思い出が、数十年の時を経て次世代の普通部生の心に残ったのであれば、少しは意味があったのかなと思う反面、それが目路はるか教室の公式な記録として残っていく事態への一抹の不安が残る結果に。……というのは冗談ですが、いつの日か受講してくれた普通部生のみんなと再会して、思い出話をできる日を心待ちにしています。