2025年度 目路はるか教室

2025年度 目路はるか教室
2年全体講話

君たちの「今」が、未来をつくる

1976(昭和51)年卒業株式会社三越伊勢丹 取締役会長

杉江 俊彦 氏(すぎえ としひこ)

 アップル創業者スティーブ・ジョブズは、スタンフォード大学でのスピーチで「点と点をつなぐこと」の重要性を語りました。いま取り組んでいることが将来どのようにつながるかは、その瞬間には分かりません。しかし後になって振り返ると、一つひとつの経験が意味を持ち、確かな線としてつながっていく。だからこそ彼は「いまできる経験を大切にしてほしい」と伝えたのです。私自身も普通部時代に経験したコンピューターの実習、林間学校、労作展などが、その後の人生に大きな影響を与えました。普通部は、他では得がたい多様な経験に満ちた場所です。どうか積極的に挑戦し、その瞬間を存分に味わってください。
 また、福澤先生は『文明論之概略』の中で「人は昔を見て今を知り、今を見て後を知る」と述べ、歴史を学ぶことの意義を示しています。さらにビスマルクの言葉として伝わる「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」も、先人から学ぶ価値を端的に表しています。単に出来事を覚えるのではなく、その時代の人々が何に悩み、何を考えて行動したのかを理解しようとするとき、知識は初めて自分の力へと変わります。歴史上の人物だけでなく、身近な先生や先輩、ご家族の経験からも学べることは数多くあります。
 そしてリーダーシップは、生まれつきの才能ではなく、経験と学びの積み重ねによって育つものです。今、皆さんが挑戦するすべての経験が必ず未来につながり、皆さんを一回り大きく成長させてくれるでしょう。私自身も若い頃はリーダーシップとは無縁だと思っていましたが、会社で多様な経験を重ねるうちに、気がつけば自然と身についていました。前向きな姿勢を持っていれば、新しい経験は次々と訪れ、そのすべてが自分を磨く糧になります。
 講演後には時間に収まり切らないほど多くの質問をいただき、普通部の皆さんの未来は明るいと確信しました。このような貴重な機会をいただき、心より感謝申し上げます。