2025年度 目路はるか教室
2025年度 目路はるか教室
1年全体講話
何でもやる、何でも聞く ~私の普通部時代~
1975(昭和50)年卒業慶應義塾大学名誉教授
池田 幸弘 氏(いけだ ゆきひろ)

私の普通部時代ははるか遠くになってしまいましたが、この講話においては、私自身の普通部時代にふれて、何を学んだかをお話しさせていただきました。しばしばその人のその後の人生を予見させるとも言われている労作展ですが、私は一年次にはガリレオ衛星の観察、そして二年、三年ではピアノ演奏を提出させていただきました。外部から受験して入学した生徒でしたので、一年生のときは受験勉強の蓄積でなんとかなりましたが、二年のときに、中学生がしばしば襲われるような反抗心に襲われ、意図的に勉学から手をぬきました。そのため評点は落ち、担任であった齋藤公一先生には「まるで、与党の選挙結果のようになりましたな」と例によって洒脱で厳しいコメントをいただきました。
結局、理系の学問につかう時間は少なくなり、普通部時代は、英語の勉強と音楽の演奏、鑑賞に費やされました。
講話では、その後の学部選びに話しは及び、苦労しながらまた逡巡しながら、経済学部を選択したという話をいたしました。かならずしも経済という領域に関心を持っていた生徒ではありませんでしたが、なんとか面白そうな領域を見つけることができ、現在に至ります。
私自身の専門は、過去の経済思想というもので、それ自体がそのままいまの経済現象の分析に役だつものではありません。しかしながら、丁々発止と行われる政策的な論争を、長期の視点から、つまり離れたところから見ることの必要性は強く感じています。そのために、過去の先人の思想を学ぶことは有益です。
AI技術の新展開によって、理系はもちろん文系の学問、そして社会自体が大きな変遷を強いられています。どうぞ、有益な普通部時代を送ってください。先生そして友人たちとたくさん議論をしてください。最後に、香山芳久先生からいただいた言葉を送ります。「感性は中学生くらいの時期が一番鋭く、あとは減退するばかりである」と。みなさんの健闘を念じてやみません。