2024年度 目路はるか教室

3Hコース

消費者法を使う・作る

明治学院大学 法学部 消費情報環境法学科准教授

福島 成洋 氏 (フクシマ シゲヒロ)

 授業の冒頭で、法律とは何か、消費者法とは何かという一般的なお話を少しして、早速、「消費者法を『使う』」ことに取り組んでもらいました。実際に起きた消費者トラブルをもとにした事例について、クーリング・オフができるのかどうかを4人ずつのグループに分かれて検討してもらい、各グループの代表者にその結果を発表してもらった後、全員で議論しました。後半は、「消費者法を『作る』」ということで、2023年秋から始まったステルス・マーケティング(ステマ)を素材として、まずはステマに該当するのかどうか微妙な事例をグループワークの形式で検討してもらいました。最後は、インフルエンサーも処分の対象とすべきかどうかという、現在、盛んに議論されている難問にも取り組んでもらいました。
 違うクラスの普通部生とグループワークをすることは普段ないようで、最初は戸惑っていましたが、それは1、2分だけで、各グループできわめて熱心で充実した議論が行われました。法律は、自動販売機のように、事案を入れたら自動的に答えが出てくるというイメージを持っている人も多いのですが、決してそうではない、いろいろな結論があり得るので、だからこそ様々な観点から検討することが重要だ、と私自身は考えています。普通部生のみなさんが私の問題意識を理解し、実践してくれたように思われ、うれしく、心強く思いました。
 グループワークの後、最後の20分くらいになってしまいましたが、スライドや動画を使いながら、私自身のこれまでの話もしました。弁護士としての仕事、消費者庁での法律の企画・立案の仕事、現在の大学教員としての仕事、どれも魅力的でやりがいのある仕事であるし、他にも魅力的でやりがいのある仕事はたくさんある、中高生は何かと色々考えてしまう時期だけれども、あまり考えすぎずに、楽しく過ごしてほしい、というお話をさせていただきました。

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