2024年度 目路はるか教室
3Gコース
虎に翼 〜意外と知らない裁判官の仕事〜
東京高等裁判所 判事
藤倉 徹也 氏 (フジクラ テツヤ)

この度は、「目路はるか教室」で話をさせていただく機会をいただき、ありがとうございました。
当日は、冒頭で、裁判制度や裁判の仕組みなど、裁判傍聴をするに当たって知っておいた方が良いだろうと思われることを説明しました。次に、私が約25年の裁判官生活のほとんどの期間で民事裁判を担当していたことから、あまり知られていない民事裁判の手続や民事裁判を担当する裁判官の普段の仕事ぶり、私が過去に担当した裁判の中で印象に残った事案のこと、法律家を志望した理由、裁判官を選んだ理由等をお話しました。併せて、「独立自尊」(自他の尊厳を守り、何事も自分の判断、責任のもとに行う。)や「実学」(実証的に真理を解明し問題を解決していく科学的な姿勢)といった、私が中学から大学までの10年間で学んだ慶應義塾の教えを、私自身の普通部、塾高での経験を交えてお話しました。その後、実際の刑事裁判も傍聴していただきました。裁判傍聴が初めての生徒がほとんどであったようで、いい経験になったようでした。
生徒のみなさんの感想文を読ませていただき、自分なりの判断軸をもって、結果だけでなく、結果に至る過程も含めて、しっかりと自分の頭で考えることの重要性であったり、先入観を持つことなく、物事をしっかりと認識し、判断することの重要性であったり、あるいは、大学受験がない慶應ならではの、長い時間をかけて構築されるお互いを高め合うことのできる友人関係、先輩後輩関係の大切さといった、生徒のみなさんにお伝えしたかったことがしっかりと伝わっていたようで安堵しました。
私自身も、「目路はるか教室」を担当させていただき、慶應義塾の魅力を再発見するとともに、慶應義塾で学んできたことが私の裁判官としての軸となる部分の多くを構築しているのだという ことを再認識させていただきました。ありがとうございました。