労作展

数学科

18世紀の天才 オイラーの生涯 / 後悔の残った労作展

2年T. K.君

 小学五年生の秋、初めて労作展を見て驚愕した。どの作品もとても中学生が作ったものとは思えないような、すばらしい作品だったからだ。そして昨年。実際に普通部に入学して間もなく、労作展の計画表をもらったが、何も考えていなかった僕は呆然としてしまった。いったい何をやればいいんだ?と自問するが、答えは全く出てこない。結局、理科を選んだが、結果は大失敗。時間が全く足りず、ただただ提出に間に合わせるので精一杯だった。
 そして、今年も労作展計画表が配られる時期となった。昨年の大失敗をいかして、自分の本当に好きな事をやろうと決めた。そこで、迷わず数学を選んだ。さらに、ちょうどその頃に数学史の本を読んでいて、その中の一人の数学者「オイラー」に魅力を感じた。よし、オイラーについて調べよう。これで、テーマは決まった。
 しかし、本当に大変なのは、ここからだ。昨年は時間をまったく気にしていなかったため時間が足りなくなってしまったので、今年はしっかりと計画を立てようと思った(もちろん、計画通りにうまくいかなかったのは、言うまでもない)。そこでとりあえず、九月一日あたりの完成を目標として、計画を作った。夏休み前半は、部会と合宿のため何もできない日々を数日過ごしてかなり焦ってしまった。仕方がないので部会のない七月二十八日から八月七日までの期間で、半分位を終わらせようとした。そんな中、七月三十日にある本を読んだことで、「完全数」という不思議な数について研究することに決まった。この「完全数」という数は、僕の労作展のテーマであった「オイラー」も研究していたので、ちょうど良い、というのが一つ目の理由。そしてもう一つの理由が、この「完全数」に纏わる未解決問題が多く存在するから、だ。
 七月三十日から八月五日ぐらいまでの期間は、一日中ずっと「完全数の未解決問題」について考えた。実際に、それに関する証明を書いたりもした(後でも書くが、この証明は間違っていた)。しかし、ここで問題が生じた。「完全数」についての研究は進んだが、全体を見ると全然終わっていなかったのだ。八月八日からは、部会が多くて、まとまった時間が取れず、計画通りには終わりそうになくなってきたのだ。ノートを書いたり、一日中パソコンで文書を書く日もあったが、(もともとパソコンを使うのが苦手であるし、)タイピングが遅いので全然進まない。最終日まで粘ったが、もともとやろうとしていた一つの分野は諦め、研究したノートしか提出できず、賞は無理かも、と思いながらの提出だった。
 提出から、実際の労作展までの期間に、O先生から証明(先程も触れたもの)の間違いについて解説していただき、僕の初めての証明は失敗に終わったものの、いつかはこの問題を解きたいとも思えた。
 そして、労作展当日。僕は初日の朝一番の教室当番だったので朝一番で教室へ。数分の間、恐くて自分の作品が見れず、他の人の作品を見ていたが、どうしても気になるので恐る恐る自分の作品を見ると……。
「賞だ。しかも特別展示」
 心の中で叫んだ。本当にうれしい瞬間だった。しかし、何よりも、こんな僕に賞を与えてくださった先生方、そして夏休みの間、ずっと手伝ってくれた親への感謝で一杯だった。
 今年の作品は、賞を取ることができてうれしいが、未完成のまま終わってしまった後悔がある。来年に向けて、早めの完成を目標にがんばりたい。