労作展

2016年度 受賞作品

社会科

緑の洞門から紐解く古都鎌倉の未来の資産 / 鎌倉を紐解く三部作

3年H.K.君

 一年生の時のテーマは、「七切通から紐解く 鎌倉幕府の防衛戦略」。
新田義貞がなぜ鎌倉を攻め落とせたのか、新田軍側の視点から、自然の要害がなぜ陥落したのかをテーマに調査を開始した。ところが、戦いの舞台である切通を調査するうちに、切通そのものに魅了された。そこで、鎌倉在住の地の利を生かし、幕府側の視点から、切通そのものの仕組みや防衛の戦略をメインに論文を書き進めた。
 二年生の時のテーマは、「やぐらから紐解く 鎌倉幕府の幻の寺」。
 前年の調査から、切通は単体では存在せず、必ず近くに寺や武士の館があり、それらとセットで防衛の拠点となっていたことが分かった。鎌倉にはたくさんのやぐら(鎌倉時代のお墓のようなもの)が残されており、やぐらの近くには必ず寺が存在する。そもそもやぐらとはどのようなものか、また切通とやぐらの関係、幕府の思惑から、やぐらの示す「幻の寺」の存在について考察した。
 三年生のテーマは、「緑の洞門から紐解く 古都鎌倉の未来の資産」。
 昨年、一昨年の調査から、有名な史跡は手厚く保護されている一方で、中世の姿のまま残る切通ややぐらのような史跡は破壊の危機に瀕していることに気付いた。今まさに保存運動が巻き起こる北鎌倉の緑の洞門を例として、史跡保存の現状を調べ、最良の保存法を模索した。そして社会問題としての史跡の破壊、保存、そして史跡の未来について考察した。
 結果として三年連続で特別展示を頂くことができた。
 僕がテーマに鎌倉を選ぶのは、「地元が鎌倉だから」。この一言に尽きる。
 労作展で社会の論文を書くならば、身近な題材を選ぶこと、自分の足で調べること、この二つをまず念頭に置くべき。
 第一に、テーマが決まれば書籍を調べるのは当たり前。一冊の本だけでは内容が平坦になってしまうので、関連する書籍や資料をたくさん集め読み、ある程度の前知識を準備する。
 第二に、自分の足で現地を訪れ、調査する。僕は学校の帰りや休日に一人でぷらっと鎌倉を調査しながら散策するのが好きなのだが、実際に史跡に足を運んだ回数は数知れない。一度訪れて分からなければ、完全に把握できるまで何度も通い詰める。また間隔を開けながら定期的に訪れ変化を見る。身近な題材を選ぶことはこのように調査を容易にする上でも重要なことである。百聞は一見にしかず。
 第三に、その道のスペシャリストの方にお話を伺う。調査してみると、必ず書籍には答えが載っていない疑問がわいてくる。例えば僕の場合だと、鎌倉市役所の文化財課に問い合わせる、また史跡に関するイベントなどに積極的に参加する、さらに鎌倉市教育委員会の文化財課に所属される大学教授の方など考古学の専門の先生方にたくさんお話を伺った。書籍には載っていないこれまでの経緯や実際に携わられた方しか知り得ない情報、最新の研究成果を教えていただくことができた。本に載っていること、自分で調べたことだけでなく、第三者の方のお話に耳を傾けることが重要である。
 第四に、考察。自分の頭で考えること。
 せっかくたくさん調べても、調査だけで終わってしまったら全く意味がない。調べたこと、教えて頂いたことを軸として、自分のテーマについて思いを巡らせること。調査から何が見えてきたのか、自分はどう考えるのかを結論としてしっかり自分の言葉で文章にすること。自分だけのオリジナル論文を完成させることができたら、労作展は成功である。
 来年は社会の論文を書こうと思っている後輩の皆さん、是非実践してみて下さい。そうすればきっと来年のメダルは君の手に…。