2024年度 目路はるか教室

2Iコース

スタートアップによる日本の経済成長

Cambridge Innovation Center ディレクター/東京工業大学 特任教授

名倉 勝 氏 (ナグラ マサル)

 今回の授業は、日本最大級のスタートアップ(急成長をする新興企業)集積拠点であるCIC Tokyoにおいて行った。CIC Tokyoは2024年11月現在、スタートアップを中心として320を超える企業が集積しており、スタートアップ関連のイベントや支援プログラムが数多く実施されている。
 施設の見学に先立ち、なぜ日本経済が伸び悩んでいるのか、なぜ海外では創業当時はスタートアップと言われていたNVIDIA、 Amazon、Google、Facebook、Instagram、Tiktokといった企業がここ30年間の経済成長を支えてきたのかを議論した。また、 ModernaやSpaceXを事例として、世界を変えうるテクノロジーがスタートアップにより実現できてきるのか、そして日本政府や東京都がなぜスタートアップ推 進しているのかを説明をした。実際に、日本でもTimeeやSpiberといったスタートアップが活躍 し、成功を収めつつある。それらのスタートアップの創業者は大学(院)在学中に起業しており、起業やスタートアップに携わることは、普通部生にとって実は近い未来の話である。
 施設の見学では、スタートアップ集積拠点がどのように設計・デザインされているか、起業家 同士が交流する仕組みがどのように作られているか、またどのようなサポートがあるのかを体験した。CIC Tokyoにはスタートアップの成長を支えるための仕掛けや工夫が無数に存在している。更に、虎ノ門という都内主要拠点や中央省庁に簡単アクセスができる場所に立地しており、ス タートアップにとって最高の環境を提供していることを実感する機会となった。
 これから、日本でもスタートアップはより一般的になり、産業の新陳代謝は進んでいく。衰退していく大企業も更に増えていくだろう。そのため、大企業だけでなく、日本ではまだ注目する人が少ないスタートアップという存在や、自ら起業することやスタートアップに飛び込むというキャリアの選択肢が存在することを普通部生に引き続き学んで欲しい。

前の講師を見る


2024年度トップに戻る


次の講師を見る