2021年度 目路はるか教室

2Gコース

「日本のものづくりが未来を創る」 〜貴金属は未来のキーマテリアル〜

1985(昭和60) 年卒業田中貴金属工業株式会社 代表取締役執行役員

田中 浩一朗 氏(たなか こういちろう)

 この度は母校および諸先輩方からのお薦めにより、「目路はるか教室」開催の機会をくださったことに深く感謝申し上げます。思いもかけず我が子と同じ年代の生徒さんたちと一緒に学ぶことが出来たのは私自身楽しい体験でした。

 講義の冒頭で私の自己紹介をお話しする中では、幼稚舎〜普通部〜高等学校〜大学においては野球やアイスホッケーに没頭していた自分の青春時代を懐かしく思い出しました。

 当社は1885(明治18)年の創業以来一貫して、金・プラチナ・銀を始めとする貴金属のディーリング、資産用・宝飾用の貴金属の販売、貴金属を主原料とした工業製品を製造する「ものづくりの会社」です。

 講義では金・プラチナは世界のどの国で一番採掘されるのか、工業分野でどのように使われているのか、など全員参加型のクイズ形式で進めていきました。生徒さんたちは、目に触れることはないけれど貴金属が身近な電気・電子機器・自動車などの重要な部分に多く使われていることに驚いていました。中には予習をしてきてくれた生徒さんもいて私の方が驚かされ感心したほどでした。

 本来ならば、この教室を平塚市にある当社の工場で、「ものづくり」の現場を見学し、化学実験を織り交ぜた体験型学習を計画していましたが、コロナ禍のために残念ながら実現は出来ませんでした。その代わりに当社のBtoC事業部門のGINZA TANAKAの銀座本店で高価で美しい宝飾品・工芸品の販売の現場を見学した後、さらに特別コーナーを設置して、貴金属地金を直接手で触れる体験をしてもらいました。金やプラチナが、銅など他の金属に比べると非常に重たいことや、純度の高い金やプラチナは手で曲げることができるほど柔らかい金属であること、叩いてみると独特な澄んだ音色が響くことなど、皆さん熱心で興味津々目を丸くしながら、大いに盛り上がりました。

 私は、講義の結びで生徒さんたちに次のことをメッセージとしてお話しました。「世界の未来には、特に日本の未来には今まで以上に「ものづくり」は絶対に欠かかせないと考えています。福澤先生の慶應義塾設立の目的は『気品の泉源、知徳や徳義の規範たらんことを期し…全社会の先導者たらんことを欲するものなり』とのお言葉のとおり、そこには慶應で学んでいる皆さんたちが将来の日本および世界を背負って立ち、頑張って活躍していることを期待します。」と。私は「貴金属」は未来を創るキーマテリアルの一つであると確信しています。今回の教室をきっかけに、普通部の後輩たちのうち一人でも多く「ものづくり」と「貴金属」に関心を持ち、将来働くときに関連する仕事に携わってくれると非常に嬉しく思い、今からそれを期待しています。今回は、私もとても楽しく生徒さんたちとの貴重な時間を過ごさせて頂きました。

 本当にありがとうございました。

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