社会科
簿記検定に合格して
2年R.N.君
九月二十八日。僕は自分の作品に賞という紙がぶら下がっている事に驚きを隠せなかった。普通部の伝統行事である労作展で賞が取れるなんて夢にも思わなかったからだ。
僕はラーメンが好きだ。入試の面接では「入学したら、労作展ではラーメンの研究がしたい」と言って合格を勝ち取った。去年はラーメンのダシとタレについて研究した。いろんな店のラーメンを実際に食べ、味の感想と共にダシとタレについて調べあげた。が、惜しくも賞は取れなかった。その悔しさを胸に、今年は何をやろうと考えていた。その時に流れてきた「ラーメン屋の倒産件数が過去最大」というニュース。あんなに美味しいのに、そんな訳あるか、というのが今回の労作展の始まりだった。
倒産が多い理由について調べ始めたら、よく分からない言葉がたくさん出てきて、全く理解できなかった。そもそも「倒産」という言葉が難しい。ひとまず、倒産しそうもないラーメン屋として、僕が一番よく行く「町田商店」について調べようと思った。
町田商店という一つのチェーン店を調べるだけなので簡単に終わるだろうと思っていたら、全くそうではなかった。決算書が読めない。有価証券報告書?なんだそれは。僕はあまりの難しさに頭がパンクしそうだった。そこで、両親にこう持ち掛けられる。
「簿記検定を受けてみないか。」
新たな発想だった。簿記検定を受けることによって、決算書が少しでも読めるようになるのか、と。幸い今は三月。労作展当日まで時間があるので、早めにやっておくのはいいかもしれない。
ということで日々簿記検定に向けての勉強に打ち込んだ。CPAラーニングのアプリをダウンロードし、簿記三級対策の動画を見続けた。思ったより動画も多くて、最初の方は集中力が持たずに動画が終わってしまった。だが、それでもわかるところから中心に簿記三級予想問題を解いた。問題は全部で三問あり、一時間かけて解く。合格点は七十点だ。初めの頃は時間が足りず、ひどい点数を連発していた。と同時に、母親に簿記三級の試験日を告げられる。六月二日だ。まだ時間内に解き終えられてすらいないのに…。予想問題集もあっという間に一回転してしまった。このままで合格なんてできるのだろうか。そんなことを考えつつも、予想問題二回転目に突入。何問か解いているうちに徐々に慣れていき、合格点には届かなくても、時間内に解き終えることが出来た。これによって自信がついた僕は、試験の数日前から、ネット試験対策ということで、自宅のPCで模擬試験に挑戦する。第三問が満点だったこともありやっと試験前日にはじめて模擬試験で合格点に到達!僕は喜びでいっぱいだった。
試験当日。不安なところも全てチェックしてきたため、自信がある。今日は、絶対に合格したい…‼試験会場はとても静かだった。集中力を切らさずに問題が解けそうで安心した。いざ受けてみると、問題は難なく解けていった。そのまま、試験終了。さあ、ワンクリックで合否が分かるところまできた。自分を信じて、カチッと。
「合格です」
最高の気分だった。これまでの努力が身になっていてとてもうれしかった。
これで終わりではない。決算書も少しは読めるようになっただろうと、もう一度有価証券報告書を見てみる。習った単語がいくつもあって、なんだかうれしかった。しかし、やっぱりよく分からない。簿記三級の知識では、有価証券報告書は読めないのだ。どうすれば良いのだろう?
今回、公認会計士が企業の決算書の内容をチェックし、信頼できる書類であることを証明するということが分かった。魅力的な職業かなと思えてきた。今年簿記三級に合格できたので、来年はもうワンステップ踏み込んで簿記二級に挑戦し、その先へ進むことが出来たらと思う。