労作展

2024年度労作展 受賞作品

理科

計画性の重要さ

2年S.H.君

 「あった!」
自分のところに賞の紙があったのだ。その時、僕は大きな喜びに包まれていた。
 僕は、普通部の中で一番大切な行事の一つである労作展で、一年生の時はとある失敗をした。僕は理科が好きで、選択するつもりだった。しかし、担任と相談したところ、どちらかというと作るのがメインだったので、技術になってしまったのである。
 そこで、僕は二年生になり「硝酸の合成」という、いかにも理科っぽいことすることにした。この硝酸は、僕が読んでいたマンガのキーだったので、一回作ってみたかったのだ。テーマはモチベーションのためにも、自分が好きなことをやった方がいいと思う。そうして計画表を提出した。さて、提出したら早速準備を進めていく。特に、ネットで買う人は早めに買った方がいい。僕は、とある金属を買ったら来るまでに、一か月もかかったことがある。実験器具で足りないものを、東急ハンズの渋谷店で買い、薬品はネットで購入する。この時、必要な薬品が劇物や危険物だったりして買えなかったため、その薬品の原料を買って作った。
 必要な物がそろったら、さっそく実験をしていく、と行きたいところだが、僕はそういかなかった。本来は、七月中に何かしら始めないとまずいのだが、部活や旅行などが重なったことで、全く進めることができなかったのだ。そうして急いで実験をしていると、あることに気が付いた。それは、製作日誌を書かなくてはいけないことである。本当は、丁寧に書いた方がいいのだが、この時僕は時間に追われていたため、月日と方法、感想を少しだけ書いた。また、少しでもページ数を稼ぐために、改ページを何回もした。
 実験もほとんど終わり、論文もパソコンで大体書き終わったため、あとは少し。あと一週間もあるから大丈夫だろう。そう思った自分を本当に後悔している。その理由はレポートが手書きであるということだ。また、一週間の内の三日間は佐渡ヶ島に行っており、使える時間がものすごく少ないのだ。そこからは、睡眠時間平均四時間ほどの生活がスタートした。佐渡島でもフェリーなど、使える時間はレポート作成に注ぎ込み、ひたすら書いた。パソコンで作った原稿があるといっても、一枚書くのに三十分ほどかかる。それを、三十枚分書かなくてはいけないのだ。そしてついに、提出日の前日レポートに穴を開け、ようやくファイルに封じることができ、事なきを得た。
 普通の論文類だったら、ここで終わりだろう。しかし、理科はまだやることがあるのだ。それは、ポスター作りだ。ポスターは去年シールを十個くらいもらった友だちのを参考にして、書いた。その友達から聞いた話によると、ポスターで注意するべき点は、文章を多くしない、図を大きくする、など見やすさ重視にするのがいいらしい。
 そして、労作展の前の準備の日。僕は論文と製作日誌を置いておくだけだと、見てくれる人は少ないと思ったので、何か展示をしようと考えた。そこで、実験装置を組み立てて展示したのだ。
 そして、労作展の当日。時間になり、教室が開けられて中に入ると
「あった!」
自分の作品に、賞の紙がついていたのだ。去年は賞を取ることができなかったので、ものすごくうれしかった。また、自分の頑張りが認められた気がして、自信もついた。
 こうして、夏の思い出が刻まれた。振り返ると時間配分を間違えると、後々後悔することになるので、その重要性を改めて知ることになった。これからはもっと、計画的に物事を進めていこうと思った。