保健体育科
「労作」展
3年K.S.君
「三年連続の受賞へ」。これは、僕が昨年の労作展で二年連続受賞した際に書いた作文の題名だ。労作展で野球についての研究、さらには三年連続の受賞を目標に普通部に入学した僕は、一昨年は完投が減少した理由について、昨年はバントと盗塁について研究してきた。投手と野手について研究したことでやり切ったといえるかもしれないが、野球についての研究で三年連続受賞したいという思いから、今年も野球について研究すると心に決めた。そして大切なテーマだが、今年が最後ということから誰でも思いつきそうなことを深掘りしようと考え、比較的地味な内容を扱った昨年とは打って変わって「勝てるチーム」について調べることにした。
今年の労作展は泣いても笑っても最後という思いが強く、これまでの二年間と比べて何倍も熱が入っていた。そのため、本格的に作業を始めたのもこれまでは八月中旬だったが、今年は四月の終わりからだった。ただ、これまでよりさらに様々な視点から考えることができるテーマなので、上手いまとめ方を考えるのに三年間で最も苦労した。まず、打率や防御率など様々なチーム成績が優秀だったチームを十チームずつ選考し、それぞれのチームについて主な投手と野手の成績を表にまとめて分析することにした。合計百五十チームほど分析することになり、さらに表に付け足したいことがたくさん出てきたため、データ集めと分析の作業だけで三か月ほどかかってしまった。その結果、移籍した選手についての段落がやや手薄になってしまったが、期限は迫ってくるので、何とか終わらせるしかない。論文類の提出日は始業式の翌日と決まっているそうで、始業式の約二週間後が提出日の一般作品を羨ましく思いながらも、作業を進めていった。特に最後の二週間ほどは毎日十二時間ほど、最後の何日かは十四時間ほどと、今思い返してもよく頑張ったなと思うほど集中して取り組んでいた。合計五百時間近くかけて制作した本は本文二百六十ページ超え、データ二百二十ページ超えの合計約五百ページというまさに三年間の集大成と言える超大作となった。
今年はもう一つ、昨年達成できなかった製本をしたいという強い思いがあった。八月下旬に製本所を訪れた際、製本所の方は「提出日の四日前までにデータを送ってほしい」とおっしゃっていた。ただ、僕がてこずり制作に時間をかけてしまい、データを提出したのは提出日の二日前だった。にもかかわらず、製本所の方を「これまで製本した中で、役所に依頼された時よりも分厚かった」とまで言わしめるほどボリュームのある本を一日で製本していただいたことには、とても感謝している。
そして論文類提出日。一昨年、昨年は「この量で大丈夫かな」という思いがあったが、今年は「これで賞が取れないのはおかしい」というほど作品に自信を持っていた。また、これまでの二年間は自分の作品を見つける前に友達に「賞おめでとう」とバラされてしまったが、今年は装飾係を選択したため、労作展前々日に自分の作品の場所を把握して労作展を迎えることができた。
労作展当日。結果を自分の目で確かめるために、始めに三年C組を目指した。二日前に置いた自分の作品を見ると、そこには「賞」の札が。裏には赤いペンマークがついていた。これで僕は野球についての研究で三年連続の受賞に加えて三年連続で特別展示にも選んでいただき、入学時の目標を達成どころか大きく上回ることができて、僕はとても興奮していた。そのために、まだ結果を知らない受賞した友達に「賞おめでとう」とバラしてしまったのは申し訳なく思っている。
三年連続で労作展について作文を書いている今、手元には二つのメダルとメダルケースがある。最後のカメレオンのメダルが届いたら、本当に労作展は終わりを迎える。この三年間はまさに「労作」の夏だった。夏休み中外出することはほとんどなかったが、代わりに全力で好きなことに打ち込む楽しさを知ることができた。もちろん受賞するたびにより高みを目指したくなり、辛さを感じることもあったが、それを乗り越えてこその労作展だと僕は思っている。これから労作展に取り組む人には、この達成感をぜひ知ってもらいたい。