労作展

2024年度労作展 受賞作品

英語科

はじめての労作展

1年S.N.君

 僕は小学5年生の時に行った労作展で、先輩たちの作品に感動すると同時に、自分もここに作品を並べたい!という思いから普通部を目指した。また、僕はMLBが大好きで、中学生になったら野球部に入ることを楽しみにしていた。
 そしてこの春、慶應普通部への入学、野球部への入部という二つの夢がかなった。いざ入部してみると、ほぼ初心者の僕は練習についていくのが精一杯で毎日へとへとだった。泥だらけのユニフォームも自分で洗わないといけない。でも、部活が楽しくてしかたがない。
 僕がどんなに大変でも楽しいと思えることがもう一つある。それは英語だ。ロンドンにいた時の友達とずっと友達でいたいという思いから、どんなに忙しくても必ず英語に触れる時間を作って頑張ってきた。そのおかげで、MLBの中継を英語で見たり、現地の報道を読むことができたり、得られることはとても多い。
 労作展では、自分の興味があることに労を惜しまず時間をかけてじっくり取り組むことできる。その中で僕は、自分らしさが生かせる英語科で野球をテーマに『Banzai Babe Ruth』という作品を選び、二つの目標を立てた。
 一つ目は英語力をもっと磨くことだ。35章・272ページと長く、英文のレベルも高いので大変だとは思ったけど、リーディング力が上がり、ボキャブラリーも増えると考えた。僕は英語を和訳しないで英文を読んだり、リスニングをしたりしているので、英語だけでやることにこだわった。
 二つ目はたくさんある情報から重要なポイントを見つけだす力をつけることだ。インターネットなどでだれでも簡単に情報を集めることができるようになって、その中から何が重要なのか、何が真実なのか、ということを自分で判断する力が大事になっている。これは、入学式で伊藤塾長が話していたことで、とても心に残っている。僕の苦手な国語力もつきそうだと思った。
この二つの目標を達成するためには英文サマリーの作成が一番適していると思った。さらに、当時の日本で日米野球や選手たちについてどのように報道されていたのか日本語で書かれた資料も調べ、情報に違いがないか分析した。
 僕の作品は、通学時間にこつこつ本を読み込むことから始まり、サマリーの作成とレビューイングを繰り返し納得いくまで仕上げることができた。何度も自分の文章を読み返し修正していく方法は、普通部で作文を書く時にしていることから学んだ。これによって僕の書く力が驚くほど成長したからだ。本編を読むだけではわかりにくいので、どんなことを考え、どんな工夫を加えたか、苦労したことなど、労作の過程を自分以外の人に知ってもらうための制作日誌にも力を入れた。
 装飾係だったので審査の前日は学校で作業をしていた。僕の周りには友人たちの立派な作品が並んでいて、完全に自信を無くしてしまった。家に帰って両親に期待させないように、周りのレベルが高すぎて賞は無理だと思うと伝えた。
 労作展初日は青山学院野球部との招待試合があったので、一日中第二グランドにいた。でも友人が入賞していたことを知らせてくれた。家に帰ると家族からも「おめでとう」と言われてほっとした。
 労作展二日目の朝、結果を知っているのに少し緊張しながら1Jの教室の中に入った。僕の作品には銀色の札がついていた。しかも裏を見ると赤いペンマークの印もあった。信じられないくらいうれしかった。僕の作品をちゃんと見てくれていた先生方に感謝した。
 この夏は部活で野球に打ち込み、帰宅後も野球と英語で労作展のために時間を費やした。たくさん苦労したことがあったけれど、それ以上に楽しみながら、夢中になって取り組むことができた。大好きなことに思いっきり没頭し、これまでで一番充実した夏が過ごせた。僕は労作を続けてこれからもっともっと成長できそうだ。