労作展

2023年度労作展 受賞作品

保健体育科

三年連続の受賞へ

2年S.K.君

 僕は自分で思っているよりも緊張していたようだった。 入り口から一番近いテーブルの上に僕の作品は置いてあったのだが、 それに気付かず教室を一周してしまったのだ。 そして、 ようやく見つけた僕の作品には賞の文字が。 そして裏を確認するとペンマークのシールが貼ってあった。 努力が報われ、 なんとも言えない達成感に包まれた。
 昨年、 日本プロ野球で完投が減少した理由について研究し、 賞を頂いた時から、 今年はバッターについて調べると決めていた。 ただ、 調べる内容が決まらず、 労作展計画表の提出期限が迫ってきていた。 そして、 バッターの成績といってもたくさんあるが、 ホームランや打率などはたくさんの人が研究していると思ったので、 あえてスポットライトの当たることが少なそうなバントと盗塁について調べ、 オリジナリティを出すと決めた。
 労作展の保健体育科の中には、 自分の身体能力の成長など自分についての分析もあるが、 僕はデータについて分析する方を選んだため、 ほとんどの作業がパソコンを使ったものだった。 その結果、 毎日同じことの繰り返しで、 労作展を進めている実感がなく、 時間だけが過ぎていくような気がして焦りを感じたのを覚えている。 苦労したことはキリをつけるのが難しかったことだろう。 調べれば調べるほど、 新たな疑問や 「これでいいのか」 という不安が湧いてきてしまうので、 区切りをつけるのが難しいのだ。 ようやく、 区切りをつけてデータを集める作業からパソコンに打ち込む作業に切り替えた時には、 提出期限があと一週間のところまで迫ってきていた。 この辺りからは凄いスピードで進めたと自分でも思う。 十一時くらいに寝ようと思っていたら、 なかなか終わらず二時に寝た日もあった。 そして、 論文類提出の前々日に本文、 前日に制作日誌を印刷し、 ファイルに綴じた時には何とも言えない達成感に襲われた。
 論文類提出の日。 保健体育科の提出の列に並んでいると、 どうしても他の人の作品に目が行ってしまう。 国語科の友達も 「小説を百五十ページくらい書いたよ」 と言ってきたので、 「こんな作品で良かったのか」 と徐々に自信が無くなっていってしまった。 正直、 昨年賞を頂いた時から、 三年連続賞を狙い始めていたのだ。 そのために今年はなんとしてでも賞を取りたかった。 他の人の文量ばかり気になり、 百五十ページの小説と聞いた時には嫌な予感がし始めていた。
 労作展当日。 正直自信はあまり無く、 一年生の教室から先に回ろうと思っていたが、 先に結果を知って早く楽になりたかったので、 二年C組の教室に足を進めた。 結果は受賞。 嫌な予感は的中しなくて済んだ。 嬉しい気持ちもあったが、 緊張や労作展からの解放感の方が大きかったと思う。 友達からは 「賞おめでとう」 とたくさん言ってもらい、 とても嬉しかった。 そして、 「賞」 の字は大きく影響するのか、 たくさんのお客さんに手に取っていただき、 嬉しい反面、 恥ずかしい気持ちも少しあった。
 僕は昨年から二年続けて野球の研究をし、 ありがたいことに二年連続賞と特別展示を頂くことが出来た。 労作展で野球についての研究をして賞を取ることというのは、 僕は普通部でやりたかったことであり、 目標だったため、 この目標を達成できてとても嬉しい。 そして遂に、 三年連続賞を取ってメダルをコンプリートするという夢への挑戦権を手に入れることができた。 ただ、 どちらも残り時間ギリギリのところから制作し始めて、 完成したのも前日の夜である。 最後の労作展がまだ来年あるので、 余裕を持って集大成となる作品を完成させ、 有終の美を飾れるよう準備をしていきたい。