理科
労作展の理科実験
3年H.H.君
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労作展の会場に行って、 僕は驚いた。 予期せぬ受賞の札が自分の作品についていたからだ。 驚きとともに喜びと、 実験に協力してくれた人達への感謝の気持ちが沸き起こった。
僕は1年生では自分が好きな外来生物について調査し、 その中で学んだ外来種タンポポについて2年生で調べてみた。 すると昨年度のタンポポ現地調査の過程で、 やってみたい別の調査が出てきた。 在来種タンポポと外来種タンポポがそれぞれの好む環境で棲み分けしているという学説や市民調査があり、 実際にそうなのか現地調査を自分もしてみようと思った。
今年その現地調査を労作展テーマにして作業を始めたものの、 1つ不安な点があった。 見た目でのタンポポの判別では在来種は見分けられるが、 外来種と雑種は判別できないのだ。 外来種と雑種を確実に見分けるにはDNA鑑定が必要である。 しかしそんな専門的な調査は僕1人では不可能だ。 僕は困り果てて、 ネットでタンポポDNA鑑定について調べてみた。 すると、 学生の研究支援を行うリバネスという企業が、 中高生相手にタンポポDNA実験をやったという記事が見つかった。
何日か電話やズームでやりとりをした結果、 ちょうどタンポポDNA実験を2校で実施する予定があったそうだ。 ラッキーにも僕はその予備実験の際に自分のタンポポでDNA鑑定させてもらえることになったのだ。
「きみ、 ラッキーだよ。 うちもタンポポの実験するの何年かぶりだったの。」
と担当者の方に言われて、 僕は自分の幸運に驚いた。
リバネスでは3回に渡って僕の持ち込んだタンポポのDNA抽出と鑑定実験をさせてもらった。
専門的な機材や試薬について説明を受けていると、 どれも高価なことを知った。 日本の科学技術力が昔と比べ低下しているのは研究開発にお金をかけていないからだと新聞で読んだことがあるが、 確かにこれだけ器具や設備にお金がかかるのならそれを削って研究開発は進まないだろうと思った。 科学技術力の低下は日本の国力が衰えつつある一因だと思うし、 国はもっと真剣にこの問題に取り組むべきではとも感じた。
実験は何段階もの手順を経てようやく最後の鑑定にたどりついた。 リバネスの人達と電気泳動の結果を確認し、 自分が想定していた結果が出たときには歓声をあげたくなるほど嬉しくなった。
「実験結果は必ずしも想定通りには出ないですよ」
と予めリバネスの人達に教わっていたので不安は大きかった。 が、 僕はまたしてもラッキーだった。
僕は理数系に進むか文系に進むかわからない。 だからこそ、 労作展をきっかけに貴重な経験が出来て良かった。 突然の飛び込み電話で実験協力を依頼してきた見ず知らずの中学生に、 ここまで親切にしてくださったリバネスの人達には心から感謝している。 そして、 こんな貴重で他では得難い機会を与えてくれた労作展にも感謝している。 慣れない作業で大変だったが、 この夏はとてもいい経験が出来たと思う。