労作展

2023年度労作展 受賞作品

国語科

近い!けど遠い……?

3年S.S.君

「未知にはイエスと言う」 これが、 僕の基本方針である。
 未知のもの、 新しいものには、 まず近付いてみる。 先入観や思い込みで拒絶をして、 学びの機会を失わないようにしようと常日頃から心がけている。
 僕は今回の取り組みで、 AIツールの ChatGPT を、 シナリオ作成の補助として利用し、 漫画を作成した。 ChatGPT は登場直後からメディアを賑わせており、 とても魅力的なものに見えた。 一方で制作物への利用に際してはその問題点や課題について深く理解した上で取り入れるべきだとも考えていた。
 実際に利用して感じたことは、 このツールは論理的な文章を書くことはできるが、 断じてその質は高くない、 というものだ。 とりわけ、 事実とは異なる情報がかなりの割合で含まれていること、 バージョンアップ後もその数は決してゼロにはなりえないという仕様上の欠点に、 致命的な問題を感じた。 むしろバージョンアップするたびに、 ウソや間違いの迷彩度合いが高まり、 それを探して修正することが一層大変になった感じがある。
 ツールとして使いこなすには、 相当な量の知識と教養と経験が必要で、 全自動で使うのは難しいと感じた。 イメージとしては、 大学教授や専門家が、 学生に論文の代筆をさせたものの、 それを世に出す前に、 ちゃんと書けているかどうかを都度事細かに確認しなければならず、 かえって時間と手間が掛かってしまう……そんな印象だ。
 ゆえに、 新しい未来のツールという触れ込みで登場したものの、 事態としては検索エンジンの亜種に過ぎないと思う。 だからこそ検索エンジン同様に、 ユーザーサイドの情報リテラシー、 その土台となる知識と教養がますます重要になってくると再認識した。 幸運にも (?) それに早い段階で気付くことができたので、 僕は ChatGPT の可能性や将来性に期待しつつも、 現段階で貢献しうる限定時な部分でのみ導入することとした。
 完成した制作物としての漫画については、 現状、 できる限りのことはやったが、 クオリティには満足していない。 情報を伝える上で漫画という手法自体は悪くはないが、 いかんせんプロット作成、 シナリオ執筆、 ネーム、 コマ割り、 作画など、 とにかく工数がかかりすぎるのが難点である。 加えて、 それぞれにかなり高いスキルが求められることから、 現時点現段階の僕には課題も多いと感じた。 それでも漫画のようにビジュアル化した方が伝えやすい。 あるいはそうすることでコミュニケートできる人が大幅に増える、 といったことは世の中に多く存在すると考えている。 したがって、 今後も漫画を描くことは続けようと思う。 ただし、 まずは文章でしっかりと僕自身の考えを伝えられるようになることに注力したいと考えた。 その伝え方を含め、 伝えるための何かを学び続ける人間でありたいと決意を新たにした。