国語科
続けることの大切さ
3年N.E.君
初めて労作展を見た時のあの感情を忘れたことはない。 僕と二・三歳ほどしか変わらない人がこんなにすごい作品を作っているんだ、 そう思った。 それと同時にこの学校に入れば僕もこんな風になれるのかと期待を抱いていた。
その期待が打ち砕かれたのはすぐだった。 小学生の頃から好きだった歴史を題材に小説を書いてみると全く良い評価が得られなかったのだ。 さらに同学年で同じように小説を作った人が賞をもらったというのも僕を底へと突き落とした。
当時の僕にとっては自信作で、 その理由が分からなかったのだが、 今の自分からするとあれで評価を受ける訳がないと思ってしまう。 というのも、 誰が喋っているのか分かりやすくするためにセリフごとに名前を入れたのだ。 その時はそれが良いと思ってやっているのだが、 改めて読み返すと読みづらくてしょうがない。 それにパソコンで書いてそのままほとんど読み直さなかったので、 言葉のミスや、 変換ミスが多発していた。 しかしもう終わったこと、 二年生で挽回してみせる! そう心に決めて時は流れた。
二年生では、 一年生の反省を生かし、 大幅に変更をした。 セリフの部分はもちろん、 その他の所も自分で読みやすく、 面白くなるように工夫し、 言葉のミスにも気を配った。 しかしそれでも認められることは無かった。 僕には才能が無かったんだ、 もうどれだけ書いても無駄なんだ、 そう感じた。
今回の先生からのコメントでは、 歴史小説なのに外来語が入っていて雰囲気が損なわれているというものがあった。 それを見て僕は、 そうじゃないんだよ、 と思った。 その理由は、 この小説のことを完全な歴史小説ではなく、 小学生などにも読みやすいような小説にしたいと考えている点。 さらにこの小説はタイムスリップするというストーリーなのでその点も踏まえて、 外来語が入っていても良いと思っていたのだ。 正直、 来年も書くかどうか迷っていたのだが、 上巻・中巻と書き進めていたので、 もう一年挑戦してみよう、 そう決心した。 それと同時に、 外来語を入れる理由を制作日誌で書いてみようと思った。 僕の気持ちが伝わってくれという想いを込めてだ。
労作展当日。 教室に入り緊張しながら自分の作品に対面するとそこには 「賞」 の文字があった。 飛び上がるほどに嬉しかった。 気持ちが伝わったのだ。
まずは僕の作品を見て評価してくれた多くの先生方に感謝をしたい。 先生方のコメントのおかげで自分には見えていなかった問題点が分かり、 作品は成長したのだ。 そして、 普通部に入ってからの三年間、 小説を書き続けて、 僕は続けることの大切さを学んだ。 始めはなかなかうまくいかずに、 くじけそうになっても修正し続ければ努力は報われる。 そのことを身に染みて感じることができた。 これから高校、 大学へと進んでいくことになると思うが、 大人になっても日々そのことを念頭にこれからも頑張っていきたい。