労作展

2022年度労作展 受賞作品

社会科

地方創生の現状 アンテナショップ・カレー巡りから

2年N.H君

 「よっしゃあ…」
思わず口に出して叫んでしまった瞬間とその興奮は今でも忘れられない。それは去年より何倍も大きく、喜びに満ちあふれていた。今、考えてみるとそれは大きな苦労と努力が報われたからだと思う。
 それは労作展の約一ヶ月前の八月。自分の目標をたて、それにつき進んでいた。本来のぼくならそれで十分満足できるのだが、この時の自分は何かに満足していなかった。それは恐らくまだできることが沢山あるのに実行できていないことに対する焦りであったと考える。だが、この頃はそれに気付くのに時間がかかった。
 ぼくの今年のテーマは「アンテナショップを巡りご当地カレーを集めて地方創生について考える」というものだった。アンテナショップとは基本的に全都道府県が出店している、ご当地ものの商品を販売している店である。ぼくは当初の予定ではこのアンテナショップを巡り店内を観察して地方創生の取り組みを調べようとしていた。だが、ここで一つの疑問が浮かんできた。それはこれで本当に地方創生について調べ上げることができているのかという疑問である。
 そこでぼくは計画を考え直した。地方創生とは何かという根本的なところから調べ直して計画と見比べてみた。だが、何も思い浮かばなかった。ここで母の助言がなければこのまま何事もなかったかのように進めていただろう。母からの助言は、
 「各自治体にアンケートを出してみたら?」
という一言だった。ぼくはすぐにそれに取りかかった。各自治体のメールを一つずつ調べるのはとても大変だった。これを調べあげると次はアンケートの作成である。「アンケートは長すぎると読んでもらえない可能性がある」という親の助言のもと、聞きたいことをまとめて端的に書いた。アンケートはこのあと、先生による校正をしていただき、送信した。次の日、パソコンを開けてみるとメールが一件来ていた。まさかとは思いつつも開いてみると、アンケートの回答だった。その時の感情は言葉ではうまく言い表せない。驚きと喜びと他にも様々な感情が交ざっているようだった。この後に返ってきたアンケートを見ると、「素晴らしい活動をしていますね。勉強を頑張って下さい。」と書かれているものもあり、大いに元気づけられた。そして、何より自分は子供ではなく大人として扱かってもらえているのだと思うと、しっかりとした作文を書かなければならないなと感じ、覚悟を決めた。
 その後、何だかんだあり何とか全ての資料をまとめることができた。その爽快感といったらすごいものだった。資料は十一冊にもなった。そして何より自分自身が満足できる作品を作ることができた。「これは賞を取れるんじゃないか」というほどのものだった。
 そして今、ぼくの顔には百パーセントが喜びだ。来年は何のテーマにしようかなんて考えている。来年も賞を取ろうと決心したのだった。