労作展

2021年度 受賞作品

理科

翼果の落下と回転〜模型による滞空時間の要因分析〜

3年Y.K君

 僕がカラコギカエデの種に出会ったのは幼稚舎の五年生の秋だった。 高原学校で行った蓼科で森を散策していた時に、 カラコギカエデというカエデと、 その種を先生に紹介された。 カエデの仲間の種は翼果と呼ばれ翼を持っていて、 一枚羽根であるにも関わらず軸がぶれずに綺麗に回転しながら落下する。 気付けば僕は翼果に夢中になり、 何度もカエデを落下させ、 回転を見て遊んでいた。 回転はいくら見ても飽きず、 落としていて楽しかったので種を六十個程拾い、 持ち帰った。 何故一枚羽根にも関わらず綺麗に回転しながら落下するのか、 何故全然墜落しないのか、 等としばらくの月日はその事ばかり考えていた。
 これらの疑問を全て解決したいと思い、 六年生になって、 作品展ではカエデの種について、 「カラコギカエデのヘリコプター体験」 と題して研究をした。 滞空時間が長い回転に適した形を見つけるために羽根の幅と長さ、 重りの質量を変えて、 様々なバリエーションの模型を作成した。 もちろん、 これらの模型は回転する必要があるのだが、 回転する模型を作るのは容易ではなく、 何度も失敗した。 形を真似して、 素材を軽量化したり、 重心の移動等、 様々な事をした。 やっとの事で完成した模型は、 吹き抜けで二階から落下させて実験した。
 苦労して作った模型の中で一番滞空時間が長かった形とカラコギカエデを比較すると、 当初の予想とは違い、 模型と実物の形が一致しなかった。
 この事から、 カラコギカエデより優れた種類があると考えて、 秋に沢山の種類の翼果を集め、 普通部の一年生の時は 「翼果の落下と回転~滞空時間と形・重さの関係~」 と題して、 集めたカエデ十七種類、 マツ三種類で比較し、 滞空時間が長く、 より優れた形を探求した。 種の数は百を越えていたので実験にかなり時間が掛かり、 データ量も膨大だったので解析もなかなか終わらなかった。 この実験で滞空時間の要因はおおまかには分かったが、 目視での実験だったので実験では精度があまり良くなく、 比較する切り口が少ない。 この頃から、 目視での実験に限界を感じるようになった。
 最近はスポーツ等の動作の分析にハイスピードカメラが用いられる事が多い事を参考に、 二年生の時は 「翼果の落下と回転~ハイスピード映像による分析~」 と題して、 翼果の落下をハイスピードカメラ二台で撮影し、 滞空時間や回転速度等についてデータを集め、 動画解析ソフトで解た。 撮影をしたためそれまでと違い小さい種だと、 明るい場所では回転がうまく見えなかったため、 照明の工夫が必要になった。 種が周りに溶け込まない様に背景に垂れ幕を設置した。 更に照明をどの様にするか、 何日も悩んだ。 悩んだ末に暗い部屋に光が差し込んで来た時に反射し、 はっきり姿を確認出来る事から着想を得て部屋を真っ暗にし、 種に光を当てた事で一番小さく、 全く映っていなかった種まで綺麗に光った。
 今年は今までの結果を踏まえ 「翼果の落下と回転~滞空時間の要因分析~」 と題し、 重心の移動等実物では出来ない実験を、 形が違う四十種以上の模型を作成して行った。 模型は二、 三センチ程のを作り、 実物と条件を揃えた。 その為、 一ミリ以下の精度が求められ、 眼科バサミを用いた。 模型は比較するために形や重さ・重心以外の条件を可能な限り揃えた。 条件を揃えた事で、 過去の実験の結論と今年の結論が少し違う箇所が生じた。 又、 今回の実験では模型の長さ、 幅、 滞空時間をX、 Y、 Z軸で示す等高線で滞空時間の一番の山を見つける必要があったが、 当初の模型の範囲ではグラフ内に頂点が入らない為、 少し大きな模型の作品を繰り返し、 滞空時間の一番の山を見つけるまで続けた。 その為実験に十日以上も掛かった。
 このテーマで研究を四年間して、 データ量は年を重ねる毎に増していき、 膨大なデータと格調した。 勿論それは大変で、 投げ出したくなった時もあったが、 最後までやり切った事で沢山の事を知る事が出来た。 これからも大変で辛い時は労作展を思い出し、 最後まで頑張りたい。