労作展

2018年度労作展 受賞作品

社会科

たくさんの出会いと貴重な経験

3年R.S.君

 六年前に労作展を見学して以来、ずっと憧れていた普通部に入学して三年。僕が普通部を目指す最大の動機となった労作展も今年で最後だ。やりたいことが二教科に分かれ、決定するまでかなり悩んだが、昨年のアンケート調査に対して心残りがあったので、リベンジするつもりで今年もアンケート調査を実施することにした。

 今年は、回答者の精神的負担を軽減するというという点に最も気を配り調査票を作成した。どうしても、あれもこれもと聞きたくなってしまうが、貴重な時間と手間を使ってアンケートに回答する相手側の気持ちになり、積極的に協力してもらえるような質問設計を心がけた。また、声をかける際には、何のための調査なのか、まず目的を明確に説明し安心して回答してもらうことを心がけた。その結果、回収率がぐんと上がったように思う。

 集計し分析を始めると、アンケート調査は非常に奥が深く難しいものだということが分かってきた。

 選択式の回答からは、統計的な解析をすることで、データ全体の傾向を把握することができた。しかし、自由記述式からは、回答者の細かな心理を読み取ることが難しく、話を聞く中で分析していく必要があると思った。そこで、回答者の負担に配慮しながら可能な限りインタビュー調査を行うことにした。

 インタビュー調査の利点は、直接コミュニケーションを取りながら実施することで、文字や選択肢のチェックだけでは分からない部分まで感じることができる点であった。お互いに意見交換をすることによって、想定していなかった新しい発見を得られることも多かった。相手の表情や態度を観察したり、多面的に話してくれた意味や意図を理解したりするなど物事に対する洞察力がとても重要であった。普段あまり使っていない頭をフル活用させることはインタビューの醍醐味だと感じた。

 印象に残っているのは、広島で、一年生の時アンケートに答えてくれた方と偶然に再会を果たしたことだ。久しぶりにあった友達のようにまず互いに近況報告などをして盛り上がり、今年もインタビューを含め、たくさん意見を聞かせてくれて非常にモチベーションが上がった。

 労作展の取り組みによりさまざまな出会いや経験をしていくなかで、人と接することの楽しさに触れることができたほか、物事を深く考える力がついたと思う。たくさん生の声を聞かせていただき、問題や現状だけをみてしまうのではなく、その問題の背景や原因を考えることができるようになった。

三年間の労作展で延べ千人以上の方にアンケート調査のご協力をいただいた。また、広島市役所観光課の方をはじめ、アイザック教職員の方、平戸漁業協同組合の方、その他多くの方の温かいご指導や励ましの声に支えられた労作展であった。

 本当にやりたいこと、興味のあるものにとことん打ち込むことができた時間は、自分を見つめなおす機会になり、普通部生の証として残るものとなった。

たくさんの方にお世話になったという感謝の気持ちを忘れずに労作展で培った貴重な経験をこれからの学習にしっかりと活かしていきたいと思う。