労作展

2018年度労作展 受賞作品

数学科

プログラミングと歩む労作展

3年Y.K.君

 労作展。それは普通部で行われる行事の中でも一、二を争う大きな行事である。 

 僕がこの行事を知ったのは、四年前の小学六年生の時である。この時点で僕は普通部を志望校にすると決めていて、頭の片隅で「もし受かったら労作展ではコンピュータに関係したことをやりたい!」と思っていた。その理由は単純で、パソコンを触ることが好きだったからである。そしてその思い通り、二年間プログラミングでゲームを作り、嬉しいことに賞もいただくことができた。   

 今年の労作展でも、プログラミングを行おうと思っていた。テーマを決める際、最初は今まで通りゲームを作ろうと思っていた。しかし、それではこれまでの作品と変わり映えがなく、最後の作品として味気ないような気がした。そこで僕は「機械学習」を用いたスマホのアプリを作ることに決めた。とはいっても、機械学習について僕は何も知らなかったため、最初はそれを勉強することから始めた。これがとても大変で、短い期間で中学生がきちんと理解することは正直無謀だと思った。しかし、だからと言って諦めるわけにはいかないので、様々な本やサイトを見て自分が理解できそうなところをかき集めてなんとか基礎を理解することができた。

 それが終わると、次にプログラミング言語の勉強を行なった。昨年までは一つの作品に対し、一つの言語だったが今回は二つの言語を使って作ることに決めた。大変な作業ではあったが、まだ時間に余裕があったので楽しくできた。

 これでついに作品づくりへと漕ぎ着くことができたわけだが、ここからが本番である。作り始めは、自分が思っていた通りにプログラムが進むことで完成できると思っていた。しかし、自分の作った機械学習のプログラムをアプリに組み込む時に、「動かない」という状態に陥ってしまった。この時、僕の頭の中には一つだけプログラムの修正案があった。もしそれがうまくいかなれば、僕の作品は「失敗」である。僕の中で最悪な状況が思い浮かぶ中、修正案を組み込んでみた。おそるおそる画面を見てみると僕の作品はきちんと動いていた。厳しい状況にあっただけに、嬉しかった。

 結局、論文が提出できる状態になったのは提出期限の三日前だった。もしこの作品で賞を逃しても全力で取り組んだ作品だったので悔いはなかった。そして労作展初日の朝、真っ先に僕の作品を見ると賞の紙と特別展示の判子があった。僕の努力が報われたと知り、とても嬉しかった。

 プログラミングはとても根気のいる作業である。プログラムを書いて、失敗して、修正して、また失敗する。そんなことの繰り返しでやめたくなる時もあった。しかし、その分成功した時の喜びは何事にも変えられない。そのことに気づくことができ「労作展」という行事は僕の中でより一層深い意味を持った。