保健体育科
労作展がくれる物
1年C.S.君
初めての労作展で、僕は間違い探しの探求を行った。きっかけはイタリアンチェーン「サイゼリア」で間違い探しをしたとき、そのあまりの難しさに驚嘆し、難しい理由を解明したいと思ったからである。前人未到の領域なので、苦しい道のりになるが、何があってもあきらめないと誓った。カッコつけたが、正直、かなり苦し紛れのテーマだ。テーマが思いつかなかったので、仕方なくこのテーマにした。この時点の僕の気持ちはかなり後ろ向きだった。だが、間違い探しを解いている内に色々とアイデアが湧いてきて、だんだん前向きな気持ちになってきた。そして、僕は間違い探しを遂行しているときの脳の働き、間違い探しが難しい理由と、間違い探しを解く際のコツ、そして間違い探しを作る、という四つの段階に分けて探求を行うことにした。自分でも間違い探しという狭いテーマをよくここまで広げたと思う。
僕は八月から労作展の準備を始めた。間違い探しを探求するにあたって、まずは間違い探しを解くことが不可欠だと思い、間違い探しをたくさん解いた。百個ぐらいは解いたのではないかと思う(ちょっと盛った)。
そして、次に僕がしたのは、図書館で脳の本を探すことだ。図書館は、様々な分野の本が収蔵されており、貴重な情報収集の場である。僕も図書館に幾度も足を運んだ。図書館は本当に便利なのでぜひ活用してみてほしい。
その後は、とにかく脳の機能について調べた。難しい言葉や、脳の機能を覚えるのが大変だったが、めげずに頑張った。ここでなおざりにしていたら、その後の論文も意味のない物と化して、賞も取れなかったと思う。こうして、僕は間違い探しが難しい理由を解明した。先入観やキャラクターの視線など、様々な要因が絡み合っていることが分かった。これにはそれなりに根拠がある、中々読み応えのあるものに仕上がった。
しかしその後の間違い探しのコツの考察は、はっきり言って、かなりつまらないものになった。根拠もあやふやで、ほぼ完全な主観でしかない。もう少し時間があればマシなものが書けていたはずだったのでかなり後悔した。
だから、間違い探しを作る段階は、かなり力を入れた。僕は今回作るにあたって、その道の第一線で活躍される方に間違い探しづくりの秘訣を聞きたいと考え、サイゼリヤの間違い探しの作者さんにメールでインタビューを行った。とても緊張して、断られたらどうしようと不安になったが、快諾してくれた。作者さんによると、飽きないように簡単な間違いと難しい間違いを程よく作っているとのことだった。また、間違い探しづくりの参考になるようにと間違い探しのラフ画もくださった。それを参考に、試行錯誤を重ねて間違い探しを完成させた。基本は手書きで、色付けだけパソコンで行った。僕は絵が下手なので、うまくできるか心配だったが、デザインに詳しい父にアドバイスをしてもらって、かなり見栄えの良い作品に仕上がった。こだわった点としては、やはり飽きないように作るというところと、あまり線を正確に作りすぎないというところだ。絵を描いていって思ったのが、「線は揺れてブレていたほうが人間味があっていい」ということだ。サイゼリヤの作者さんの絵も、美術で扱うような上手い絵ではないが、人情味を感じる絵で、とても可愛らしい。この理由は、パソコンなどでまっすぐな線を書かずに、手書きで書いてあるからだと思う。また、僕はこの間違い探しを易しく作ったつもりだったが親や友達に解かせてみるとかなり苦戦していたので「飽きない間違い探し」が達成されたかはかなり怪しいところがある。このように僕の労作展は様々な学びを得たが、同時に課題を認識させてくれる、有意義なものになった。
装飾の時、他の作品を見てそのレベルに圧倒された。今年の一年生は本当にレベルが高かった。僕の作品は、他の人よりテーマが浅いと思うので本当に心配になった。よくある「あんだけやったのだから大丈夫」という感情は一切なかった。だから、友達に賞と知らされたときは、あまりにも実感がわかなくて「ふえっ?」みたいな微妙な反応しかできなかった。むしろ、考察が不十分な点があるので、この賞にはあまり納得していない。二年生は「完璧な賞」を目指し、計画をしっかりと立てて頑張りたい。だが、「大物にインタビューした」という中々ない経験をしたのは僕の人生において宝物になるだろう。この経験を与えてくれた労作展に感謝したい。
