2023年度 目路はるか教室

3Fコース

あなたを支えているものは何ですか? ~ 一外科医のつぶやき ~

国立病院機構東京医療センター 外科医長

浦上 秀次郎 氏 (ウラガミ ヒデジロウ)

 私は昨年に引き続き目路はるか教室の講師の依頼を頂きました。これといった特異な経歴、肩書のない私ですが、逆転の発想で、何にも縛られない授業をしようと考えました。
 授業は講演と外科手技体験の2部構成と致しましたが、個人的には講演にかなりの比重を置きました。①外科医という仕事、②これまでの人生を通して大切だと考えるに至った事、の2点を考えましたが、①は他者であっても伝えられるものの、②は私にしかできない唯一無二の内容だと確信し、②に重点を置きました。私を形成するにあたり影響を与えたこととして、①キリスト教の教え・道徳観、②手塚治虫の世界観、③留学体験を挙げました。幼児洗礼でのキリスト教的価値観・倫理観との出会いと幼少時から育まれた高い自己肯定感が私の基礎・土台を形成し、他力・自己犠牲・慈悲などの仏教的思考に触れ、留学体験、異文化コミュニケーションを通し、さらには計画的偶発性理論との出会いなどにより、あくまで個人的見解ですが、人間性を磨き、感性を研ぎ澄ますことができたことを伝えました。
 今回生徒諸君が書いてくれた感想文を拝見し、驚愕しました。それは、私がたった一回語っただけのことを極めて鮮明に記憶し、自身の言葉でも表現し、そして私に伝え返してくれたからです。私の思いが確実に普通部生21名に伝わったことを本当に嬉しく思いました。
 講演が大幅に超過したことで外科手技体験の時間が短くなってしまったにもかかわらず、普段できない体験ができたことを大変楽しかった、貴重であった、嬉しかった、と伝えてきてくれたことは本当に嬉しく、同時に短めになってしまったことをあらためて反省しました。
 これから広がる無限大の可能性の中で、他力の風をいつでも受けられるように常に自分の帆を拡げてチャンスを得る努力を怠らないよう、日々精進、挑戦し続けてください。
 15歳の青年諸君のこれからのさらなる飛躍を期待してやみません。

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