2023年度 目路はるか教室
3Eコース
銀座で２００年続く家業を継ぐということ
株式会社銀座大黒屋 代表取締役社長
安西 慶祐 氏 （アンザイ ケイスケ）
この度は「目路はるか教室」の講師という貴重な機会を頂戴しありがとうございました。
この歳になりますと人前でスピーチをする機会というのはたまにあるものですが、私のような一般人が自分の半生を人様にお話しする機会はそうある事ではないと思います。その滅多に無い貴重な機会をこの「目路はるか教室」で得たわけですが、いざ何を話そうかと自分の歩みを振り返ってみると、後輩たちに胸を張って話せるような功績があるわけでもありませんので、何のひねりもなしに学生時代、銀行員時代のエピソード、そして現在の家業を継ぐに至るまでの経緯、そして銀座の街およびそこで商売を営む経営者たちが抱える課題などをお話しさせていただき、その後銀座の街を歩きながら街の成り立ちやルールなどを説明させていただきました。
やはり中学生男子ということで初めて銀座に足を踏み入れた子も少なからずおり、外国人旅行者を含む人の多さ、あらゆるラグジュアリーブランド店が立ち並ぶ華やかな街並みに目を見張り、銀座のもう一つの顔、営業時間前の閑散とした「夜の銀座」街をぐるっと回って大人の世界を想像し、最後に福澤先生の呼びかけにより設立された交詢社の内部を見学しながら学閥、職業などを問わない「社交」の大切さを感じ取っていただき、お開きといたしました。
特に私から普通部生の皆さんに教訓めいたことをお話し出来たわけではありませんが、「木村屋のあんぱん」の甘じょっぱさと共に「銀座」という文化を肌で感じ、少しでも親近感を持ってもらえたら嬉しく思います。
今回こうした機会を頂戴し、私自身がこれまでの人生を振り返ることによって、自分の中での価値観、アイデンティティなどがどうやって育まれてきたのか整理する良い機会となりました。普通部教員の皆様、目路はるか教室委員の皆様、ありがとうございました。
無限の可能性を秘めた普通部生の皆さんの将来が本当に楽しみです。