2023年度 目路はるか教室

1Aコース

「一期一会」の3時間

公益財団法人古紙再生促進センター 専務理事

川上 正智 氏 (カワカミ マサトモ)

 普通部125年の節目に、思いもよらず仰せつかった講師のお役目。授業当日の1年生25名を前に、感慨を禁じ得なかった。正に半世紀前、目の前の諸君と同じ1年生として、普通部75年の行事に接し、記念曲「ぼくら普通部」を歌った日々が思い出される既視感に包まれた。授業の冒頭で、50年の時を越えた今回の出会いは、恐らくお互いに生涯一度限り、「一期一会」の意義を説き、この時間を大切にしたいとの思いを伝えるところから始まった。
 製紙会社の原材料調達に長く携わり、現在は持続的な紙資源リサイクルの発展に向けて、業界や社会基盤作りの支援活動を行っていることから、地球規模の諸課題、温暖化、食料問題、脱プラ等々をできる限りビジュアル化、平易に伝えることを心がけた。また、リサイクル分別の大切さも、実際に古紙をパルプ化し、繊維分をシート状に加工する体験実習により、「混ぜればゴミ、分ければ資源」のイメージを体感してもらうことを通じて、循環型社会を考える時間とした。
 一方、私にとっての生涯スポーツであるホッケーについて、若い時代の国際審判員活動や、現在はマスターズ選手として再びステイックを握り、国内外の大会参加を通じた、仕事や家庭とはまた違う「もう一つ」の人生も語った。授業当日は東京五輪が開催された大井ホッケー場において、全日本学生選手権の試合観戦も叶い、より具体的なイメージを持ってもらえたのではないかと思う。
 全般を通じて強調したのは「リスペクト」の意味を常に考えて欲しいということ。ありのままの相手との関係においての「敬意」「尊重」「理解」「感謝」「思いやり」。学校でも家庭でも、世の中に出ても大切な心構えであり、また市民生活を支えるエッセンシャル(必要不可欠)な資源リサイクルでも、そこに関わる方々へのリスペクトを忘れないで欲しいと伝えた。
 一期一会となった、若き塾生諸君にエールを送ると共に、未来社会の担い手として、ゼロからイチを生み出す能力、夢中を手放さず一つのことを深堀りする姿勢、グローバルな社会課題を解決する意欲、そしてなにより多様性を受容し、他者と協働する姿勢を大切に成長して欲しいと願う。結びになりますが、世話人の仮屋園君、籏野先生、正田先生、株式会社國光様にも厚く御礼申し上げます。

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