労作展

2019年度 受賞作品

英語科

モチベーション

3年S.K.君

 初めて自分が労作展を見に行った時、たった一歳年上の先輩が作ったとは思えないような作品の数々に小学六年の僕は魅了された。第一志望校が当時まだ決まっていなかった中、労作展を機に僕の意志は固まった。

 中学一年生の時、僕は英語科を選択した。ど派手な美術作品に憧れを抱いて入学したものの、僕自身には芸術的センスというものが一切なかった上、小学校の時海外に住んでいた経験を生かせると思ったからだ。その流れで、翻訳する本も小学校で扱った「Trash」という小説になった。

 いざ始めると、作業の単調さ、そして分量に悲鳴をあげてしまった。夏休みに入ってから開始したこともあり、結果はボロボロだった。大して思い入れのない本にその場の雰囲気で決めてしまったことを反省し、二年生では作品選びにもっと力を入れることを決心した。

 二年生になると普通部生活にも余裕が出来たため、今年の労作展こそは本腰を入れて作品を仕上げようと決意した。前年とは方向性を変えて和文英訳をすることにした。僕の好きなインディーズゲームの公式和訳版が発売された際に、非公式版との訳の差が話題になり、和文英訳に興味を持ったからだ。文章は日本、海外両方の学校で作品を扱ったことのある星新一にした。

 結果、前年のリベンジとして始めただけだったが、非常に楽しみながら作業をすることができた。ショートショート集を選んだため、毎日新しい作品を訳すことができ、飽き性の僕でも最後までクオリティーを下げずに完成させることができた。賞も取ることができ、リベンジとしては大満足の結果だった。

 三年になった今年、リベンジを果たすことができた僕は英語科を選択する理由はなかった。しかし、去年の労作展で和文英訳の楽しさを覚えた僕はもう一度、今回は長編小説をやってみたいと感じた。そうとなるともう訳す本は決まっていた。去年星新一となやんだ挙句、長さからあきらめた王城夕紀さんの「青の数学」だ。英語に加え、数学が好きな教科の僕にとってこれ以上ない作品だった。

 いざやってみると、想像通り大変だった。数学用語である「モジュラー演算」や「双子素数」、「友愛数」など、意味と同時に使われ方も調べなくてはならない単語や、ショートショートにはない情景描写の数々に何時間もの作業を強いられた。しかし、今年は強い意志で科目と作品を選択したため、モチベーションが下がることはなかった。

 一五〇時間以上の時間を労作展に費やした。夏休みに関して言うと、部活動も含めれば何もない日は一日もなかった。

 友人には「労作展ごときになんで」とも言われたし、実際二年前の自分もそう思っていた。まして見映えのしない論文類なんて、と思っていた。しかし、自分の努力がしっかりと反映される論文類こそが労作展では主役なんだと今では思う。