労作展

技術家庭科

レザークラフトに挑戦 / レザークラフトから学ぶ

2年H. I. 君

 九月二十四日朝八時半。僕は鍵が開いていない薄暗い教室をドアの小窓から覗き見ていた。誰が賞をとったのかを知るためである。壁ぞいの一番手前と一番奥、その一つ手前が賞のようだ。視線を教室の中央に転じた時、僕の作品が映り、札が見えた。まさか、僕が賞を取るなんて…。
 昨年、労作展で社会科をやり、とても大変だった。労作展の翌日にテーマを早速考え始めた。そんな時、母からレザークラフトを薦められた。僕は左利きで不器用なので、左右関係なく、ある程度ごまかしの利くレザークラフトは僕に最適だと思い、早速近くのホームセンターのレザークラフト体験に行った。とても楽しく、実際に使用できるレザークラフトを来年の労作展にやろうと決めた。
 冬、春休み中などにキットを買ってきて忘れないように練習して迎えた夏休み。部会合宿後の七月二十八日から始めた。まず必要な道具を買い、型紙をコピーし、切った。次に、革に型を取り、革包丁で切るという作業だったが、早くも問題が発生する。買ってきた革とガイド本の使用している革の種類が異なり、作業方法が異なるということが発覚。そのまま続けていくと様々な違いが出てきた。買ってきた革は削れず、折り曲げにくいことや、革を切っていると革が伸びてしまうなど、ガイド本の通りにやっていると様々な問題があるので、参考書のない中、自分で考えた最善の手段で進めた。裏目に出て失敗することもあったが、ごまかしの利くレザークラフトなので、なんとか進めていけた。
 また、そそっかしい性格なので、ガイド本を読まずに先入観で進めてしまうということもあった。そのおかげで無駄な工程が増えてしまうこともあった。
 前述のような多数の問題を抱えた僕の革のバッグは日数とともに進んでいった。革を切り、穴を開け、糸で縫っていくという単純な作業の中にも、縫う時は二つの針を使うなど初体験がたくさんあった。だんだんと完成に近付くにつれ、作業のペースが加速していったが、製作日誌が遅れがちになっていった。そのため、最終的に提出当日の朝二時までやる羽目になった。
 無事に作品が完成し、提出することができ、更に賞まで取ることができ、今回の労作展は大満足だったが、反省すべき点がある。それは、間違った革を買ったり、製作日誌を提出日の朝二時までやらなければならなくなったり、先入観で作業を進めてしまったりなどと全く先を見ず目前の物を一生懸命やるなど、始めに到達点やそこまでのプロセスを頭に思い浮かべてからやるという力が欠けているという点だ。この力は日常生活にも普通に使う力なので、来年の労作展で訓練しつつ、賞を狙って努力し、充実した夏休みを送ってみたいと思っている。