労作展

2020年度 受賞作品

保健体育科

同じ賞、 違う賞

3年K.S君

 「やっと終わった」
リビングの棚の上にある、 銀色に輝いた二つのメダルを見て思った。 多くの受験生が労作展に憧れ、 普通部を目指す。 勿論僕もその一人で、 その労作展で二回も賞を取れて嬉しかった。 ただ、 労作展を 「見せる」 側になって気付いたことがある。 あの作品の裏で多くの普通部生が辛い思いをしていたのだと。
 一年目と二年目は共に納得がいかないまま作品を提出した。 奇跡的に二年目は賞を取れたが、 終始 「僕でよかったのか」 と思っていた。
 二年間やってしっかりとした結果を出せなかった。 受験生の時のあの憧れは何だったのか。 そう思うこともあった。 背水の陣で臨んだ三年目の労作展、 テーマは 「自分が好きなこと」 にしようと思った。 一、 二年目とも教科に縛られたような作品を提出した。 授業でやりそうな内容、 ということだ。 だからこそ、 今年は絶対に授業でやらなそうなこと、 教科の枠組みを超えた題材にしたかった。 この結果、 都市対抗野球 (社会人野球の大会) が思い浮かんだ。 これが二月のこと、 そして学校が臨時休校になった三月から作業を開始した。
 最初の方はスムーズにいった。 分析系の作品、 そして、 あることをピンポイントに分析するのではなく、 全体的に色々なことを分析することにしようと思った。
 全体的に色々なことを分析するならば、 様々なデータをまとめなければいけない。 安打数や三振数などのデータをまとめた。 ただ、 ここでデータに誤りがあると分析にも悪影響が出る。 なので、 二回データを取った。 この作文の中でのデータ収集は数十文字くらいに削られているが、 三十五試合のデータをまとめるのは淡々とした作業でなかなか辛い。 軽く二百五十時間はかかっていて、 この後の分析の方がずっと楽だったと思う。
 こうして取ったデータを表やグラフにまとめていき、 そこから分かる傾向を考えた。 二年生の数学で学んだ平均値、 最頻値、 中央値も活用した。
 しかし、 ここで労作展の壁にぶつかった。 傾向が分かっていく中で、 その傾向が本当に正しいのか確かめる為にデータ、 このことについて更に調べたいからデータ…。 必要なデータがどんどん浮かび、 分析に終わりが見えなくなったのだ。
 この時に僕は気が付いた。 労作展には終わりがないことに。 例えるならば、 底無し沼の底を探す作業、 円周率を割り切れた小数で表す作業みたいなものだ。 引き際は自分で決めないといけない。 その為、 「この作品は労作ではない」 と酷評されることも、 「すごい作業量だ」 と褒められることもある。 引き際を間違えた僕は九月の上旬、 ギリギリまで作業した。
 結局、 二年目と同様に賞を頂けた。 凄く嬉しかった。 ただ、 ギリギリまで長い時間作業して得た賞は二年目よりも更に輝きを放っている。