労作展

2019年度 受賞作品

書道科

書道は美しい

3年J.S.君

 美しさには種類がある。景色の美しさ、音楽の美しさ、友情の美しさ。今、僕が例に挙げた美しさは数有る美しさの中でも身近で触れやすい美しさである。しかし、自ら触れなければ一生理解できない美しさも存在する。それが書道である。

 僕は、小学校三年生から書道を始め、今まで約七年間書道を続けてきた。その中でも特に書道の美しさを知ることが出来たのは、三回の労作展のおかげだろう。

 一回目の労作展。僕の周りに労作展で「かな書道」をするという人は一人もおらず、ただ自分が今まで積み上げてきたものを信じ、書き続けた。今思えばこの時はもう書道の美しさの沼にはまっていただろう。そして、今でも忘れない、忘れられるわけがない初めての賞。自分のやってきたものが目に見える「メダル」という形で認められることがどれほどうれしいことかを知った初めての経験だった。この経験が僕をより一層書道の世界に引き込んでいった。

 一年での出来事を経て自分に自信がつき、より力を入れた二年目。一年の時と比べ難易度の桁が違う作品に取り組み、夏休み中一度も旅行に行かず、毎日書き練習した。

 毎日練習を重ね、それでも届かなかった作品をさらに練習を積み重ね、やっとの思いで自分の作品にできた時の達成感は、言葉では言い表せないほどに僕の中で大きなものだった。

 そして二年目も賞をつけてもらえた。勿論、去年同様メダルをもらった時は、とても嬉しかった。しかし、それ以上に僕の練習の成果が書道のプロに認められたような気がしてそれが何よりも嬉しく、来年も書道を続けようと思える出来事だった。

 そして迎えた最後の労作展。最後にふさわしい作品を書くために掲げた目標は一つ。

「自分が満足する作品を書く。」

この目標は、簡単に見えてどんな目標よりも難しい。僕はこの目標を達成するために二百時間もの時間を費した。そして、大きな時間を費した分、僕にとって悔いのない美しい作品に仕上がった。

 自分は美しさというものを三回の労作展から学んだ。僕の中で書道は、大好きな趣味と同時に大切なものを教えてくれた言わば「参考書」の様なものでもある。僕はその「参考書」から、美しさとは知れば知るほどより一層美しさが増すということを知った。この発見は書道を続けるに至った大きな理由の一つでもある。書道を続けるにつれ僕は何のために書道をしているのだろうと考えてしまうことがあった。そんな時、まだ僕の知らない書道の美しさに気付き、それを求めていく内にまた新たな美しさに気付き、とすべてわかっていたはずの書道の美しさが再び自分の前に現れた。僕にも理解できないが、書道をすればするほど書道の興味深い所、美しい所が沢山出てくる。偶然ではあるもののこんな経験をした僕から言わせてもらうと、書道を授業だけで終わらせるには

「もったいない。」

と言わざるを得ない。

 書道の授業を受けた友人はこう言う。

「書道とか退屈だし、将来何の役にも立たない。」

 正論かもしれないし、実際書道を始めた当初僕も思ってしまったこともある。しかしそれは書道を知らないからに過ぎない。そんな普段触れる機会のない書道に没頭できる機会、それが労作展なのである。この機会に、もう一歩踏み込んで書道を知ってみてはどうだろうか。

 労作展、書道部門はまだまだ人が多いとは言えない。理由は最初に書いた通りだが、もし何かがきっかけで労作展書道をやってみようかなという考えを少しでも持っているなら、是非挑戦してほしい。そして何より書道は楽しいということを知ってもらいたい。

 今後もう二度とない労作展という大事な機会。僕と同じく書道を選び、自分にとってかけがえのない何かを見つけることが出来る人が一人でも増えることを願っている。