労作展

2019年度労作展 受賞作品

理科

夏休みの努力とメダル

1年T.N.君

 普通部一番の行事と言っても過言ではないイベントだ。

 九月二二日、ぼくは自分の係の時間を忘れてしまい、朝一〇時くらいに普通部につくように家をでた。東横線通勤特急のドアの中から外を見ながら「賞取れたかな、取れてたらいいな~」などと考えていた。日吉に着き、普通部通りをいつも通りに歩き、下駄箱で上履きか革靴かを迷い、革靴で一年I組の教室へ行く。教室にいた友達に「お前のシフト、一時だぞ」と言われ、「まじか…早すぎた」などとくだらない会話をしながら目で教室の中を見渡した。自分の作品を見つけ、四角い紙に目をやると…何もついていなかった。「賞は取れなかったか…」心でつぶやき、そのまま友達とおしゃべりをした。ほどなく来ていた親子のお母さんがぼくの作品の前で「リニアモーターカーだ、これ賞じゃん。すごいね~」の言葉。「ん?そんな馬鹿な!」と思った。彼らがいなくなった後、こそっと、そしてよくよくぼくの作品を見てみる。すると、ぼくが最初に見た紙は作品についての注意書きの紙で、本当の紙には「賞」と書かれた紙が厳かにぶら下がっていた。心の中でガッツポーズをした。

 一学期が終わり、すぐに労作展の準備を始めた。僕がやったのはリニアモーターカーの自己作製だ。小学校五年生の自由研究でちょっとしたリニア関係のものを作ったことがあるので、普通部の労作展では本格的なリニアを作ろうと思っていた。まずは、山梨県のリニア見学センターに行き、仕組みを学んだ。理解するには少し時間がかかった。でも、何とか理解できたつもりにはなれた。頭の中でイメージもできた。簡単に完成予想図も書いてみた。「これで、よし」なんかできそうな気がする。できるだけ安く仕上げることも目標にしていたので、ホームセンターや百円ショップに行き、予定の材料を購入してリニアを作り始める。最初に試作品の作製。うまくいかない。難しいというのは分かっていたが一つ目の試作品で見当違いのものを作ってしまい、これは大変なことになるかも!と不安でいっぱいになった。だけど不思議と辞めたいとは思わなかった。失敗の理由を一つ一つ考え対策を練る。一つを解決すると違う一つがダメになる。悪循環に陥り、諦めたこともあった。結果、試作品だけで六つ作ることになった。

 それでも、最終的にはやり遂げたので結構よいものができたと自分でも思えた。また、推進の仕組みで、電池八個を直列に繋げてしまったことで、ショートしてしまったり、コイルの切り替えを手動にしたことで、さかさまに動いたり、止まってしまうなどの課題を見つけることができた。

 労作展。

 普通部最大のイベントの一つ。メダルは頑張ったことを認めてもらえるものだから、もらえたということはかなり嬉しく、また、毎年メダルのデザインが変わるので、来年もメダルがもらえるように頑張りたい。でも労作展の醍醐味はそういうことだけじゃない。一つのことに取り組み完成させてみると反省、課題から次はこうしたいと欲がでてくることもわかった。研究とはそういう果てしない作業なのかもしれない。労作展では忍耐力、発想力、研究力、さまざまなことを学んだ気がする。