労作展

2019年度 受賞作品

保健体育科

労作のすゝめ

2年N.S.君

 普通部に入学し、労作展で受賞するともらえるメダルの存在を知り、なんとしてでも取りたい!と思った。

 幼稚舎時代、理科が大好きだった僕は、五年生の時に保護したマヒワのひなを放鳥するまでの成長記録としてレポートにした。そこで観察することの楽しさを学んだ。

 六年生では南極の巨大な棚氷ラーセンCが割れたというニュースから、地球は本当に温暖化しているのかを検証する実験と観察に取り組み、データを取ることでわかる真実の面白さと難しさを経験した。

 幼稚舎で六年間毎夏取り組んだ作品展で得た経験を基に、労作展でのテーマ決めに大いに悩んだ。テーマを考えるうちに高校生の兄の身長が父を超えなかったことで、自分は父の身長を超すだろうかと疑問に思い、身長を伸ばす方法について考えてみようと思った。

 普通部生は重いリュックを背負って通学しているので身長が伸びない。兄のように親の身長を超える人が少ない。バスケットをする人は背が高いなどの都市伝説のような身長に関する噂話も含めて、どのような実験や検証をすれば確かめられるのか。大学でプラナリアの研究をしている姉から「データを沢山取ることが大事だ」と言われ、朝夕の身長だけでなく、体重、気温、天気、睡眠時間、食事を毎日記録して、成長期の自分の身長を伸ばす有効的な方法があるのか検証してみたいと思った。そこで一番大切なのは正確なデータだと思い、身長を測るにはどのような器具が必要なのかを調べてみることにした。壁に張る物や超音波式等、手軽に測れそうなものは、やってみると正確性に欠けるため、結局家では身長計測に使われる大きなスタンド型の身長計を使用した。旅行等の時は分解できるポータブルタイプのものを使用し、毎日正確な計測ができるようにした。計測をして、一番驚いたのは朝夕で最大二㎝も身長が変わるということだ。

 ジャンプやサプリの検証実験をして、データをグラフにしたが、期間が短く、確証が持てる結果までにいかなかった。二年生の夏に向けて、その年の九月から測定を始めた。

 今回は、長期間に渡り、自分の成長曲線をグラフ化し、平均値を算出した。それを基準として、他のデータと比較することにした。縄跳びや前回より有効ではないかと思われるスピルリナの摂取を一か月間して、何もしない一か月と身長の伸びを比べてみたりと、データとその分析から分かる真実に迫りたいと思った。

 途中、一か月分のデータを紛失するというミスもあったのだが、データも戻り、約三二〇日間のデータを取り終えた。長期間データを取り終えただけでも達成感はあったが、これからがレポートの大変な所。何が見えてくるか、楽しみな所でもある。

 今年は目に見える分析を目指し、成長曲線や理論値を設定し、実際のデータと理論値を比較した。考察した結果、縄跳びやサプリメント摂取の直後に理論値を下回る事はなく、伸びていることが分かり、飛び上がるほどうれしかった。

 一年近く身長を計測し続けたことによって、さまざまな実験に触れ、骨端線についてやホルモンによる身長の伸び等も知ることができた。

 欲を言えば、せっかくとった食事のデータもカロリー計算や栄養バランスについても検証したかったが、「伸長のすゝめ」としては一つの完成を迎えられたのではないかと思う。

 今僕は、このまま来年に研究を引き継ぐのか、節目として新しい研究を始めるのか岐路に立っている。だがどの分野を選ぶことになっても、この経験を生かして更にレベルの高い研究を楽しみながらできればいいと思う。