労作展

2019年度労作展 受賞作品

保健体育科

労作展とキャッチャー

3年M.S.君

 今年で九一回目を迎えた労作展であるが、普通部生にとっては、一年で最も大きなイベントの一つだ。日常の学校生活とは異なり、個人個人の課外活動の成果が発表される。その作品は、芸術作品から論文にわたって十人十色であり、努力の結晶でもある。

 また、そこで他者からの評価を受けることはとても貴重な経験であると感じた。その評価が良ければ、自分の研究の方向性が合っていたと思えるし、悪くても改善することでプラスの経験を得られる。

 僕は、三年間、科学論文で労作展に臨んだ。科学論文といわれるものは、自分の知りたいことの中で、新しい事実を発見するために、仮説を設定し、様々な実験や解析を行い、検証した結果を文章として発表するものだ。

 科学論文の作成においての最も重要なことはテーマを決めることであるのだと、この三年間で思った。テーマの良し悪しによって、論文の出来栄えや評価が半分以上決まってしまうと言える。幼稚舎での夏休みの理科レポートの作成から労作展に至るまでいつもテーマを決めることに苦労していた。そんな中で、学校以外にいるときに何をしているかと考えると「野球」だった。小学校入学前に野球に出会い、そこから、その魅力にひかれていった。小学校では、ただ純粋に野球をすることが好きで、熱中していただけだったが、中学でその考え方が変わった。「野球は、打席に立つ前から結果が決まっている」とコーチに言われた。そのときから頭脳戦・心理戦というよりハイレベルな野球の要素に興味が生まれた。一球一球に対する考え方が大きく変わり、どのようにするのがベストなのかを常に考えられるようになったと思う。 

 その中でも、キャッチャーというポジションは、チームの大黒柱であり、その奥深さに、大きくひかれた。すべての仕草に目を向け、チーム全体を見渡さなければならない。そんなポジションだ。一試合だけでも相当疲労が溜まる。そんなポジションをシーズン通して一人で行うのは、とても大変であり、ここ最近は数人のキャッチャーを使い分けてシーズンを乗り切るというプロ野球チームも多くいる。

 そこで、今年は、「日本のプロ野球における複数捕手制について考える」というテーマで研究をした。一言に複数捕手制といっても、様々な切り口で見ることができる。今回は出場試合数やその成績のデータを分析することで、複数捕手制について考えた。これまでの一年生と二年生でやってきた理科実験の研究とは違い、自分で手を動かすのではなく、蓄積された膨大なデータの中から必要な部分を抽出する方法が必要であった。理科実験よりは多くの時間を費やすことになったが、非常に楽しくできた。自分の中では、今回のテーマが三年間で一番興味をもつことが出たと思う。そのためか、原案で立てた疑問のほかにも、研究の過程で様々な疑問が生まれ、テーマに対して客観的に研究できた。

 「好きこそものの上手なれ」いうことわざがあるが、これは、労作展にぴったりだと思う。実際に野球関連のテーマでの研究は楽しくできた。今回のモットーとして、同じ時間を費やすのであれば、最後の年は、自分の好きなテーマを研究しようと考え、良い結果につながり良かったと思う。

 ちなみに、今年の労作展では、英語のスピーチコンテストのメンバーにもなることができ、テーマは「Good Catcher」であった。最後の労作展は、野球一色で楽しめた。