労作展

2017年度 受賞作品

社会科

十二年の集大成

1年Y.K.君

 僕は、旅行に行くのが大好きだ。テレビの旅番組で見てみたい景色や食べてみたいものがあると、とりあえず旅行会社に行き、パンフレットをとり、家族に提案するのが小さい頃からの僕の役割だ。これが認められれば、細かな日程やガイドブックを見て他の立ち寄り場所を考える。これも僕の仕事だ。今まで家族は喜んでいてくれる。小さい頃は、乗ってみたい鉄道を中心に場所を決めてきたが、京都のお寺や広島の厳島神社に行ったことなどがきっかけで、他の世界遺産にも行ってみたいと思うようになった。

 入学前、労作展で先輩方の芸術作品、書道や様々な論文を見て、感動した。それと同時に「一年後のこの労作展に自分の世界遺産に関する論文を展示する」と心に誓った。普通部に入学し、六月の労作展についての説明会を聞くころには、念願の世界遺産の論文の構想ができつつあった。まず、僕がやりたかったのは、小さい頃からちょっとしたきっかけで訪ねていた各世界遺産について、ゆっくりと家に残っているパンフレットを読み返したり、たくさんの本で歴史的背景等を知るという作業だった。この作業は、一度行った場所なので、情景が思い浮かびとても楽しかった。論文としてまとめるにあたり、行ったことがない世界遺産を含め「世界遺産」について詳しく調べることも考えたが、そうはしたくなかった。なぜなら、今後も僕は趣味として世界遺産を訪ねることを続けたい。その都度、自分でその場所を思い浮かべながら、遺産の背景を調べたり、知りたいことを持ってその地を訪ねることを楽しみたい。だから、今年の労作展の論文は、各遺産を訪ねた時の自分の様子と共にまとめて行くことにした。幼い自分の写真を発表することに抵抗はあったが、自分が訪ねたところを振り返りながらまとめたいという自分の意志を上手く伝えられる作品になったと思う。

 世界遺産の論文を書くにあたり、僕にとって外すことのできないのは京都の町だ。京都は他の多くの世界遺産とは違い、観光地「京都」が多くの遺産を抱えている。現に今まで僕は何度も京都の町を訪ねているが、世界遺産の寺社の他にも様々な場所や食べ物があり、独特の京文化を持つ魅力的な観光地だ。この世界遺産を抱える町「京都」については、特に調べてみたいことがあった。そこでまず、京都府庁や市役所に事前の問い合わせをした。電話であったにも関わらず、担当の部署の方々はとても親切に対応して下さった。調査のアドバイスもして頂いた。資料を読むと、町の中の様子など実際に見てみたいものが次々とでてきた。そこで時間を作ることができる夏休みに、京都に足を運ぶことにした。せっかく行くので、これまで行った寺社での再確認や、新たな寺社を訪問できる行程も考えた。現地では、観光案内所の方や多くの学芸員の方にとても親切に質問に答えていただき、今までの一観光客という自分から「古都京都の文化財」という世界遺産の研究家になった気分だった。その視点で街を歩くと今までとは少し違ったものも見えた。この京都の訪問では、多くの方々にご協力いただき、人の温かさを実感した。

 僕の世界遺産訪問はまだまだ続く。労作展のおかげで続けることができる。時間を見つけ、休みの都度世界遺産を訪ねようという企画に家族も渋々かもしれないが賛同してくれている。今年の労作展の振替休日、来年の労作展への取材という名目で新たな世界遺産を訪問した。それがきっかけで同じ遺産群の別の遺産も見てみたいという欲望が広がり、僕は今、次の長期休みの準備で忙しい。正直を言うと、今まで訪ねた世界遺産の中にはもう一度訪ねて調査したい場所もある。今後は今まで訪問したことのない世界遺産や近年新たに認定された世界遺産に足を運ぶことと並行して、自分の中で気になることがある世界遺産についてはより詳しい本を読んだり、もう一度足を運ぶなどし、一つの世界遺産についての理解をより深める方向の活動もして行きたい。

 日々の宿題や小テストでめげそうになることはあるが、「労作展の準備なのだから」とつぶやきながら、こんなに好きなことに時間を費やせる普通部での生活は幸せだなあとつくづく思う。そして、面と向かっては、なかなか言えないが各地訪問に協力してくれている家族には本当に感謝している。