労作展

書道科

行書に挑戦-王義之の書-Part2 / 労作展に感謝

2年Y. T.君

 今回の僕の労作展は冬から始まっていた。一年生の時とは違い、いつからでも始めることが出来るから、「夏休みの労作展」ではないのだ。その分今年は昨年の何倍も完成度を上げる必要があった。
 僕にとって労作展は、普通部生活の中で、かなり力を入れているイベントである。一つのことにこれほど集中できる経験は他に無いので、後悔しないように労作をするなら、とことんやろうと決めている。
 普通部に入学した昨年は、何から始めていいか分からなかったが、書道にすることは決めていた。それは一昨年、小学六年生だった時に行った労作展で見た、先輩達の迫力ある作品を、自分も作ってみたいと思ったからだ。まず、何の知識も無かったため、書道科で当時担任だったU先生に、何を書いたらよいか相談した。すると、「蘭亭叙」を薦めてもらったので、それを書くことにした。それまでは、小さな半紙にばかり書いていたが、大きな半紙に書いてみると、一枚書き終えるまでに集中力が持たず、なかなか大変だった。結果としては、賞を貰うことができた。頑張りが報われた感じですごく嬉しかった。自然と来年も賞を取ってやるという気持ちがぐっと湧いてきた。
 今回の労作展も題材決めはU先生を訪ねて相談した。そして今回は、昨年の労作展で二作品書いている先輩がいて、すごく迫力があったので、欲張りながらも二つの作品を書くことにした。また、書風については、前回も行書を書いたが、まだコツをつかみきれていなかったので、今回も行書にすることに決めた。昨年は最後に押す印を消しゴムで作っていたが、今回は本物の石を削って作ることにし、冬休みから取り組み始めた。
 夏休みの前半は、「喪乱帖」を書いた。手本をよく見ながら手探りに書いていった。半切練習に入り、何枚も練習していくと、「労作展」という感じがして楽しかった。積み重なった、たくさんの半紙、半切を見ると、もっとやる気が出た。後半は「集字聖教序」。一つ目の「喪乱帖」とは全体的な字の形や、半切に入れる文字の数がちがうので、バランスがとれず、上手く書くのが大変だった。最終的には二作品とも、そこそこ満足できる作品が書けたから安心した。
 労作展当日、僕の作品が賞を取れているのか心配で気になってしまい、労作展の係は日曜なのに、土曜の朝早く、学校に行ってしまった。学校内は賑わっていたが、どこの教室にも寄り道することなく足早に自分の教室へ向かった。教室に着き、恐る恐るドアを開けて自分の作品を見てみると、「賞」と書かれた紙を見つけた。その時は嬉しさのあまり、右手を強く握りしめた。その後、クラスの友達と話すと、「T君、特別展示でしょ。」
と言われたので、まさか特別展示になるわけはと思いながら紙をめくると、裏には赤いペンマークがあった。そのまさかであった。
 僕がこの労作展で賞が取れたのは、題材決め等の相談をしてくださったU先生、技術的なアドバイスや印の作り方を教えてくださった僕が習っている書道教室の先生、親切に話を聞いてくださった書道用品店の方など、たくさんの支えがあったからこそだと思うので、感謝したい。
 次回も、この達成感をもう一度味わうためにも、プレッシャーはかかると思うけれど、もっと完成度の高い、良い作品を作りたい。三つ目のフクロウのメダルと、特別展示を目指して。
 僕の中で次の労作展はもう始まっている。