労作展

技術家庭科

割り箸で作る!小田原城~身近なものを材料に~ / 「がんばった記憶」は一生の宝物

1年S. K.君

  僕は今回が初めての労作展だった。そもそも労作展は全てが、自由だ。全部、自分達に任されている。しかし、楽かと聞かれると「うん」とはうなずけない気がする。僕の場合は絶対にうなずけない。なぜなら、僕の作品には努力と苦労がぎっしりとつまっているからだ。
 労作展で良い作品を作るには、ベース作りが肝心だ。ベースとはテーマや自分の作る作品についての知識、情報、設計図。そして計画のことである。僕の場合は割り箸で小田原城を作るということだ。簡単に言っているように聞こえるかもしれないが、僕だってテーマ決めから苦労した。テーマの候補の数は三つだった。しかし、全てが良いと思えてしまい一つを選び抜くのはとても大変だった。しかし、昨年の労作展で割り箸で城を作っている人がいて、自分もやってみたいと思い入学したのでテーマは割り箸で作る小田原城ということで決定した。その城で僕がモチーフにしたのは小田原城だ。なぜかと言うと、平成の大改修を行い、きれいになった小田原城を作品として一番に形にしたかったからである。
 あとは、計画を練ればベースはでき上がる。これはとても大事なので、僕は1日かけてよく考えた。計画ができればあとはもう苦労を積み上げるだけだ。再びになるが、これだけベースがしっかりできていればもう努力を積み上げるだけで、もういくら積んでも崩れることはない。少しでもベースがやわらかかったり無かったりするとグラグラして作品がぶれてしまうので、ベースは崩したり作ったりを繰り返し、しっかりと作る。そのためのベース作りは簡単なようでとても大変なのだ。
 そして、いざ作品を作る時、僕は部分部分に分けて作っていった。最初は大きなパーツから作り細かい所を作るのは後にする。しかし、小さなパーツや細かいパーツをあとから作る時になかなか切れなかったり、割れたりと何度も何度も失敗して何回ももう無理だと思ったし、あきらめようともした。また、何でテーマを割り箸で作る小田原城にしたんだと自分を責め、後悔もした。でも一度決めたことぐらいはやりぬこうと何度もチャレンジした。いろいろ変えて挑戦した。だから成功したものだけ集めて作った城は、努力と苦労がつまっているのである。僕の作品の裏には何度も失敗したものがあるのだ。何個も捨て、より良い物を作ったのだ。そう考えられるようになったと思うと、労作展で大いに成長できたなと実感することができた。
 そして製作日誌は全て手書きで書いた。後の方はかなりためてしまいとても大変だった。もう最後の最後まであきらめずに書いてもなかなか終わらず、自然に涙があふれ出た。もう完成させられない自分がくやしくてくやしくてつらくなった。そうしたら止めようと思っても止まらないほど涙が出てきた。それでも最後まであきらめず提出の日まで徹夜してなんとか終わらせた。その時の気持ちは嬉しいをはるかに超えていた。また、なぜ手書きかと言うとワープロでは表すことのできない大変さや温かさが手書きだと読み手に強く伝わるからである。その努力は終わった時に自分の自信になった。
 そして、終わった時にふと来た道を振り返ってみると夏休みという休みはほとんどなかった。しかし、毎日が充実していたし、楽しかった。僕は三年間労作展を精一杯やりたい。その結果、賞を取れたら嬉しいし、取れなくても自分が本当にがんばったのなら、絶対にその素晴らしさや大変さに気付く人がいる。また、時間をかけて作ったという「がんばった記憶」は一生の宝物になる。だからその自分の良さに気付いてくれる人のためにも労作展は三年間本気でやろうと思う。