労作展

2018年度 受賞作品

美術科

僕が普通部にいた証

3年S.H.君

 当初、僕にとって労作展とは、頭の痛くなる、ゆううつな存在だった。小学五年生の時に初めて見学に訪れた労作展で、先輩達の素晴らしい作品の数々に感銘を受け、同時に身がすくむ思いだった。自分には到底それらに匹敵する物は作れないと思ったのだ。

 それでも試練はやって来た。最初に、題材をどうするかで悩んだ。自分の得意なことは何か、真剣に考えたが絵や書道、音楽どれも当てはまらなかった。そんな時親に、誰にでも出来るが、工夫次第で物になるのが良いのではないか、というアドバイスをもらった。それすらハードルが高いように感じたが、相談に乗ると言われ、励まされた。

 そこで以前の労作展を思い出してみて、一番に浮かんだのが切り絵だった。テーマを建造物に絞った中で、東京駅の駅舎が創立百年の記念として二〇一四年にリニューアルされた事をきっかけに、挑戦することとした。

 切り絵初心者の僕は、日曜の早朝に東京駅の写真を撮りに行ったり、切り絵の基本を学ぶことから始めた。まだ一年生で一時間かけての通学に慣れていなかった僕には、日曜もゆっくり出来ず、親からプレッシャーをかけられ、身体的にも精神的にもつらい日々だった。しかし、少しずつでもやるしかないと言い聞かせ、週末は励み続けた。

 何度か東京駅を訪れるうちに、改めてそのずっしりとした佇まいの素晴らしさにすっかり魅了されていった。そして、地道に取り組み続けた結果、賞を取ることが出来、それによって達成感を得た。また、友人にも褒められ、翌年も頑張ろうという気持ちが高まった。

 労作展は同じテーマを掘り下げて行く奥深さがあるように思うが、僕の場合は切り絵に関しては限界を感じたので、同じ題材を掘り下げて行くことにした。二年目は内側の東京駅を題材に、前年の労作展で気になっていた。シャドーボックスの手法を取り入れることにした。

 再び一からのスタートで、シャドーボックスの展覧会を訪れたり、体験コーナーに参加したり、初心者のキットを使って練習してみたりした。この時も賞を得ることが出来たが、立体物を扱うことへの苦労や作業の進み具合、最終目的に辿り着けるか不安だったことなどが思い出される。

 昨年の秋に工事を終えた東京駅の外観を三年目の題材とした。表現方法として、ペーパーアートとジオラマを混合させた独自のものを採用した。引き続き、立体物を作成する上で前作の経験が活き、三年に渡って賞を取ることが出来た。しかも今回に至っては、特別展示ということで、非常に喜ばしいことだと思う。

 こうして一つ一つを振り返ってみると、多くの経験を積み、それぞれ大切な思い出となった。労作展に自分の作品を出したこと、それこそが僕が普通部にいた証であると思う。僕自身が他の作品に触発されてきたように、僕の作品が誰かの助けとなってくれれば、とても嬉しく思う。三年間を通して、努力をする程面白く、また大きな達成感を得られることを学んだ。今度はこれを信条として、色々な事に挑戦していこうと思う。