労作展

2018年度 受賞作品

技術家庭科

模倣でいいのか

2年D.M.君

 一週間前、技術家庭科のN先生から、この労作展の生徒感想文を書いて来い、と言われたわけだが、何を書けばいいのか、さっぱり分からない。労作展について、主に自分のことを書くというのは、分かるのだが。まさか自分が賞をとるとも、こんな作文を依頼されるとも全く思っていなかった。そういう作品を作った。正直、製作に関しても、割にギリギリになってから、勢いで終わらせてしまった感がある。もし、先生方に、レッド・ツュッペリンⅡ、ジェフ・ベックのトュルースといった(いずれも短期間で仕上げたロックの名盤)類いの「熱」を感じて頂き、それがこのような状況を生んだのであれば、それは非常に嬉しいことであり、驚きである。

 前にも少しあるように、僕は六〇~七〇年代のロックが大好きである。その影響でギターも始め、この労作展では、エフェクターと呼ばれる、ギター等の楽器の音を変える機械を作った。勿論、目指すサウンドはジェフ・ベックやジミー・ペイジだ。

 僕はこの作品のアイデアをユーチューブで得た。電子工作の中でも簡単な分野であるとあったので、専門的な知識をなしにしていどんだ。しかし、苦労する部分も多くあった。でも、僕が伝えたいのは、苦労ではなく、嬉びだ。もちろん、苦労があってこその嬉びだが…。

 二つのエフェクターをそれぞれ作り終え、一方をギターにもう一方をアンプへつなぎ、アンプとエフェクターをスイッチオンにする。すると、今までとは違う、歪んだ音が出るわけだ。この瞬間がエフェクターを自作する醍醐味なんだなと思った。エフェクターなど普通に市販のものがあるし、そちらの方が丈夫であるとは思うのだが、それを自作することによって多少性能が落ちても、大きな嬉びが手に入る。

 というか、この労作展において、賞を取ることも大切なのかもしれないが、この完成した時の嬉びというものが、最も大事にすべきものだろう。そして、そうした作品が賞を取れば、最高である。実際、労作展をみていても、そういった作品が受賞していたように感じる。

 僕がこの作品を作ったのはロックを広めるためでもあったのだが、そう上手くは行かないものである。エフェクター使用前、後の音の変化を録画したビデオでも、ロックやブルースを基調としたものを弾いたつもりだったのだが。現在、よく聴かれる音楽を否定するつもりはないが、六〇~七〇年代の音楽の方が、圧倒的に一つ一つの音というものに、様々なものが含まれていると思う。新しいものをと探究し発表するに到るまでの苦悩、時代との摩擦、反抗等々。当時は、自分のサウンドというものを皆探していたし、それがない、ただの模倣では短命に終わってしまう。こういう時代だったからこそ、ロックは盛えたのだろう。逆に今はもしかしたら探究され切ったから、こうなったとも言えるのかもしれないが。それでもその時代の音楽は一聴に値すると思う。そして、労作展でも、独自のものや、既存のアイデアを自分風にリメイクしたものを見ると、苦労や熱と共に「良い」という感情が生まれる。また、非常に高いレベルの模倣というものも、似た感情を感じる。それが真の芸術という形になっているかは分らないが。