労作展

2018年度 受賞作品

保健体育科

三年分の労作展

3年Y.M.君

 僕は三年間、野球についての研究をした。一昨年はメジャーリーグについて、昨年はヘッドスライディングについて研究をした。これらは、僕が普通部に入学する前から温めていたテーマだった。なので、計画表を配られる前からしっかりと計画を立てていた。三年生になった今年は、この二つを融合させたテーマで書こうと考えた。過去二年、賞を獲ることはできなかったが、自分の納得する論文を書けていたからだ。

 しかし夏休みに入り、文献を集め始めたが、なかなか思うように進まない。その理由は、自ら計画表に書いたテーマが、自分の中で納得いっていなかったからだ。気付けば七月が終わってしまっていた。こうなれば書いていってしまうしかない。過去二年間論文を書いた僕の経験上、いろいろ考えるよりも先に書き始めてしまえば、だんだん方向性が定まってくる。すると、僕の予想通り、次第にメインとなるテーマが出来上がってきた。それは、「日米の野球文化比較に見る日本野球の未来」というテーマだった。常に野球の最先端を行くメジャーリーグと、保守的な考えを守り続ける日本野球をうまく融合させられると考えた。

 今回の研究で気付かされたことは非常に多かった。僕は今まで日本の野球はアメリカの野球に全てにおいて劣っていると思いこんでいた。しかし、アメリカや中南米の選手に比べて体格で劣る日本の選手は世界で対等に渡り合っている。つまり、日本野球の独自性が体格や筋力のハンディキャップを補っているのだ、ということを気付かされた。アメリカの野球を知ることで、僕は自分が十年近くプレーしてきた日本の野球の特徴を改めて知ることができた。

 何の計画も無いまま夏休みに突入した代償は大きく、完成は提出日の朝七時であった。提出まで余裕を持って、丁寧に書き上げた昨年と比べ、がむしゃらに書きたいことを徹夜で書き連ねた渾身の論文は、前回、前々回よりも自信は無く、労力の割にはしょぼく見えた。しかし、「まぁ楽しかったからいいか」という謎の肯定感に包まれ、学校へ向かった。

 労作展当日、僕は日吉に居なかった。労作展に追われた夏休みを取り返すべく、京都一人旅に出かけたのだ。そんな僕の下に、同じクラスの友人からLINEが届いた。

「特別展示おめ」

 僕は即座に「嘘つけ」と返信した。賞を取った。ということが本当に信じられなかったのだ。しかし、「特別展示、おめでとう!」と母から来たLINEを読んで、「本当だったんだ」とひとり安堵した。三年間の努力が報われた気がした。