2017年度 目路はるか教室

2Cコース

鳩サブレーってどこから食べる?

昭和50(1975)年卒業株式会社 豊島屋

久保田 陽彦 氏(くぼた はるひこ)

 今回の授業内容を大きく分けると3部構成で、①講義②実習(和菓子作り体験)③質疑応答であった。

 この授業を行う前、普通部から私のコースを受ける生徒たちの自己紹介文を頂戴した。その中にはとても中学2年生とは思えぬ質問等「流石普通部」と思える内容のものばかりで、この講義を中途半端なものには絶対出来ないと思いプレッシャーを感じた。

 講義内容としてはまずは豊島屋の生い立ち、明治・大正・昭和・平成の生きざまをお話させて頂き、その中で鳩サブレーが明治の時代にどうやって誕生したかを話し、1ヶ月前製造した鳩サブレーと前日製造した鳩サブレーの食べ比べを行った。表題である鳩サブレーの食べ方について生徒諸君の食べ方と私自身の食べ方の違いについて説明した。食べ方について正解はなく、10人の人がいれば10通りの食べ方があって当然だと思っていて、私は鳩サブレーの出来栄えを確認する意味で私なりの食べ方をしているとの説明をさせて頂いた。

 ここで大事なのは物事の見方は何通りもあり、その見方(角度)によってまったく違ったものに見えてしまい、だからこそ色々な角度からものを見ることを知るべきだと言うことである。

 次に鎌倉における豊島屋の位置、鎌倉という街とどのように共存しているかをお話させて頂いた。このことはある意味地域貢献・社会貢献にも繋がる話で、豊島屋は鎌倉という場所で商売をさせて頂き、その鎌倉にどのような恩返しが出来るかをお話させて頂いた。

 これらの話を通じて、豊島屋の考え方、例えば初代の言葉に「枝葉を枯らしても、幹は枯らすな」などを紹介し、私の仕事に対する考え方「楽しくなければ仕事ではない」「仕事をしていて、つらいとか苦しいとかは言わない」などの話をさせて頂いた。

 和菓子作りの体験は、まずは全員に手洗い指導を行い、衛生管理の重要性を認識してもらい、その後弊社の職人の指導のもと、2種類の菊の上生菓子を作ってもらった。職人が簡単そうに作っている上生菓子も実際やってみると難しかったり、菊と言う題材でも色々な方法で表現出来る様を感じてもらえればと思った。

 出来上がった上生菓子はお手本と一緒に皆さんにお土産としてお持ち帰り頂いた。

 最後の質疑応答について、私自身非常に楽しみにしていて、普通部生がどのようなことを私に質問してくるのか興味津々だった。事前の自己紹介文の中にもかなりの質問が書いてありそれらを交えて質問にお答えさせて頂いた。

 質問としては経営に関するかなり鋭いものもあり、例えば企業継続をどうすればよいのか、また事業承継をどのように考えているのかなどの質問もあり、私がそうであったように親の仕事を継ぐ、あるいは次世代に継がせるにはどうしたらよいのかと言う疑問をこの年代から思っている普通部生は、単純に凄いと思った。

 他にも私の普通部時代の話、想い出に残っている行事とか、こんな私に聞いてどうするんだと思える、どうすれば成績が良くなるかなどの質問もあり多少困惑した。

 これらの授業を通じて、私が普通部生を教えている立場なのに、私の方が普通部生に教わっていると肌で感じ、まさに共育であると感じた。

 私自身の普通部時代の様々な記憶が蘇りながら、また、数年前普通部を卒業した愚息の普通部時代を振返りながら、義塾一貫教育の中での普通部の立場、位置の重要性を改めて感じさせられた。

 今回このような貴重な経験を本当にありがとうございました。感謝致しております。

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