2017年度 目路はるか教室

2Aコース

銀座4丁目の和光と銀座の街、銀座の商売

昭和43(1968)年卒業株式会社 和光

安達 辰彦 氏(あだち たつひこ)

 久しぶりに普通部生と話が出来る、自分の普通部時代を思い出して少しでも役立つ話が出来るなら、と「目路はるか教室」の授業を承りました。何分半世紀前の事で、自分の普通部時代を思い起こす事も難しく、又今の普通部生がどんな事に興味があるか?話す内容が簡単すぎるか?難しいか?レベルがわからず困ったな!というのが実感でした。

 わかり易い内容と思い「銀座の街」を中心に「和光と小売業」「2020年に向けた銀座」等を説明し銀座を好きになってほしいと思い、話を決めました。

 まずは和光ショーウインドウ前に集合頂き「銀座を訪れる全ての方をおもてなしする」意味を込めた冬のウインドウを見てもらい、和光が高級専門店である事(百貨店とは少し違う事)、服部時計店の小売部門を独立し創立70年になる事、などを話し店内見学を実施。

 殆どが和光に入るのは初めてとの事で、どんな品に興味を持ってくれるかと期待しましたが、やはり男子なので婦人ファッション関連には全く興味がなく、宝飾品の値段が高いことに驚いていたのは予測通り。紳士服や腕時計に興味があるかな?と思いましたが若者向けが少なく、又腕時計は付けている普通部生が6人ぐらいとあまり興味が無い様子、ただ機械式の置時計や大きな柱時計など機械を使ったものに興味を示してもらったことは今の普通部生が何に興味があるかを垣間見ることが出来ました。

 そして屋上時計塔に上り銀座の街並みを見渡し、時計塔前で全員での記念写真を撮りました。普段入れない場所に案内できたので、今後銀座に興味を持ってもらえたらと思いました。

 時計塔は東西南北に文字盤がついて、予鈴のチャイムが45秒前からなり始め、最初の鐘の音が正時であることなど、銀座人もあまり知らない事を伝えました。

 座学の銀座の街開発の歩みでは、銀座の街がある一定のルールの基に開発されている事、銀座通りの幅は27mで歩道が両側6m、車道15m、歩道の幅が広い事が街歩きに最適でストレスがない事、歩行者天国が長く継続されている事、「銀ブラ」という言葉に繋がったこと、又建物の高さを56mに制限している事、その為高層建築が立たず街並みが維持されている事等、街が一朝一夕に作られたのではなく、大小の商店や町内会等が協力し心地よい空間が出来、維持継続する事が賑わいの基と説明。

 銀座の歴史では徳川家康が駿府から銀貨の鋳造所を江戸に移設し、そこが通称「銀座」と言われたこと等、文明開化で発展した事を説明。

 銀座で小売業は儲かるのか?といった事前の問いかけに反応した学生がいたので、流通業について、卸売業と小売業の違いを説明。

 小売りと言えば百貨店の時代から売上がコンビニ、ドラッグストア、大型家電専門店などに移り、接客によるリアルな取引から、ネットビジネスに変化しリアル店舗は厳しいと話をすると、和光の社長としてリアルな取引が縮小して業績が下降したらどの様な対応を取るのか?の本質に迫る鋭い質問を受けました。実際に会社としての大きな課題であり、苦慮している事で難しい質問でした。和光の強み接客で差別化としかお話しできず、鋭い質問に驚く印象深いものになりました。是非とも次世代の流通業を担う人材になり成功してほしいですね。

 不動産コストの高い銀座の商売で儲かるのか?については、自社土地や建物で商売し規模が大きな百貨店は利益を出しているが、小規模の借店舗は厳しいと具体例を出して説明。銀座に出店する意義は、日本の商業の中心的な地区なので宣伝費と見做し出店しているケースがあると説明。

 2020年のオリンピック、パラリンピック開催で街は更に進化し、海外からのお客様をお迎えする開発が続く事、観光客が更に日本に東京に銀座に来街し、大きなチャンスがある事等を話し講義を終えました。

 SEIKOグループの小売店ですので、時計への興味があまりなかったこと、腕時計している人6人、内セイコーの時計1人ということで、若い人に時計への興味を持たせることが国産時計の次世代戦略になるのではと考えさせられました。

 最後に小売業の優秀販売員とスポーツの世界で一流になる人の共通した特徴は、「傾聴力と主張力」が大切、「先ずは聞く力を養うこと」が重要で授業を終わりました。

 一人でも多くの学生が銀座に興味を持ち来街して下さい。そして大人になったら和光でお買物お願いします。

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