2020年度 目路はるか教室

3Bコース

イノベーションの最前線

1976(昭和51)年卒業凸版印刷 株式会社 事業創発本部 部長 / 株式会社 イーフォーシーリンク社外取締役

小泉 寧 氏(こいずみ やすし)

「環境変化の激しい時代において、過去の延長上に未来はありません」

 少し刺激的な書き出しでコース別授業の内容を紹介しました。これは長年、会社で新規事業に携わってきた私の仕事観であり、人生観そのものです。「環境変化」の「環境」という言葉には、「社会環境」と「自然環境」の二つの意味がありますが、いまその二つの「環境」が激しく変化する時代に突入しているのです。

 今回「イノベーションの最前線」というタイトルで、イノベーションの意味やそれがなぜ必要なのかということ、そしてその最新事例をお話ししました。デジタル化社会の進展を支えているのは、テクノロジーの進化です。今後、新たな未来を創り出し、持続可能な社会を実現するためには、様々な社会課題を解決出来るような画期的かつ斬新なアイデアやテクノロジーによってイノベーションを起こしていくことがますます重要になってくるでしょう。

 もう一つお伝えしたかったことは、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という体育会剣道部での教えです。剣道は、心身を鍛錬し、人間形成を目指す「武道」ですが、試合では、偶然に勝つことはあっても偶然に負けることはありません。負けるときは、何かしら必然的な要因があるという教えで、これは現代のマーケティングにも通ずる考えであり、卒業以来、常に意識してきた言葉ですので参考にしてもらえればと思います。

 最後にお伝えしたいのは、これからの世の中で必要とされるのは、組織などに依存することなく「未来は自分でつくる」気構えが重要だということです。私の好きな言葉に「Risky to change, Riskier not to change.(変わるにはリスクが伴う、変わらなければより大きなリスクが伴う)」という宇宙飛行士ジョン・ヤング氏の名言があります。どの企業もイノベーションの創出に奔走していますが、イノベーションを起こすのは紛れもなく「人間」です。そのためには旺盛な好奇心を持つことと発想豊かなクリエイティブ力を養うことだと思います。何事にも気後れすることなくチャレンジし、自律した人に成長して欲しいと心から願っています。これが一番、普通部生に伝えたかったことです。

 今回、講師を担当させていただき、自分自身も普通部時代から現在までを振り返る貴重な機会となりました。本年は、コロナ禍の影響もあり、課外授業の実施は久しぶりだったかもしれませんが、少しでもお役に立てれば幸いです。ありがとうございました。

 

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