2018年度 目路はるか教室

1Fコース

国際ビジネスマンになるために必要なこと

昭和53(1978)年卒業三菱商事 株式会社 金属資源本部 部長

三田 大樹 氏(みた だいじゅ)

 後輩となる1年生約30名に多少大上段に構えたお話しをする機会を頂き有難うございました。目路はるか教室は一貫教育校の慶應義塾にあっても極めてユニークで意義ある取組と認識していましたが、講師の機会を頂きました事は大変光栄で同時に形成期の普通部生の将来に多少なりとも影響を及ぼす重責を感じ緊張感をもって取り組ませて頂きました。結果は事後アンケート拝見する限り多少の参考にはなったようでしたので安堵しています。インタラクティブな講話を心掛け私自身も多くの学びを得ました。あっという間の3時間でしたが楽しいコミュニケーションの場となり大変感謝をしています。

 普通部生と対話しましたテーマのうち、以下4点を記録させて頂きます。

1)慶應義塾と普通部

 普通部1年生が対象でしたが、私自身の普通部での学びをお話ししました。慶應義塾の一環教育の中で普通部は特別で、人生で初めて選択の自由と結果への責任が求められるという究極の〝独立自尊〟教育の場ゆえ、普通部で如何に自主性と自発性が芽生えたかという経験談。何を求め何がしたいかを自らが考えて選択する大切さ。内部出身者にとっては受験経験を経た外部生は相当な〝大人〟であり目も眩みますが、一方の外部生からみた内部出身者は〝獣心をなして…〟を地で行く破天荒ながら輝いている存在。この中で自分の得意なものを発見し伸ばし、足りないものを補完する重要性。エッジが効きつつも、バランスの良い総合力を形成して欲しいという事をお話ししました。即ち、得意分野を磨く一方、慶應らしいネットワーク力に長けた人格形成に努めて欲しいという点。エッジとバランス双方持つ事がグローバルな場面でとても重要であることを理解してもらいました。

2)商社の仕事と国際ビジネス

 私が所属する三菱商事という会社の全体像、総合商社が時代通じてどう進化してきたか、コンシューマービジネスや金属資源(鉱山業)ビジネスがどういう形で展開され普通部生の生活に直結しているかを講義しました。資料パワーポイントに加えて、会社・事業紹介や海外で働いている社員(多くは海外の企業に出向している女性駐在員たちです)の仕事や生活ぶりに追ったビデオ映像も多用。生徒たちにとっての商社像がブランド的なものしか無かったところ、説明、映像、質疑を通じて、消費者の生活にどう絡んでいるか、海外と日本を繋ぐ橋渡し機能をどう担っているか、社員が日ごろどういう気持ちで過ごしているか等、高い視座と現場感の両面から理解してもらえたようです。

3)社会人としての素養

 〝心技体〟のバランスが重要であることを説明。〝心〟は健全な思考、ものごとへの興味、やる気と忍耐力、主体性や積極性。〝体〟はまさに健全な精神を支える健康で強い身体。最後の〝技〟は社会に出てからでも十分に習得し装備できると説明、学生時代には〝心〟と〝身体〟の2つを徹底的に鍛えることを提言。福澤先生の〝まずは獣心をなして後に人心を養う〟、〝自我作古〟、〝独立自尊〟が如何にグローバルな素養を示すお言葉だったかも説明。また、「仕事力=人柄+やる気x(経験+能力)」や「IQ+EQ=BQ」という素養の方程式にも触れ、更に慶應義塾の塾員が世間でどうその強みを評価されているかについてもお話しすることで、社会人としての素養について議論をさせていただきました。

4)外国人とどう渡り合うか

 日本人が一般的に、奥手、遠慮、控え目、静か、地味とみられている事、逆に、謙虚さ、信頼性、誠実、共生の思考が外国の人からは美徳として尊敬されていることに触れました。弱みを克服し強みを伸ばす為にはどう自分を磨いて行くべきか?会話力、雑談力を高め、日本文化が語れるよう勉強し、大局を見る眼を養い、大きく構えて威風堂々と振る舞うことがそのコツであることを体験交えて強調。語学は大切ですが二の次。最も重要なのは「信頼」を築く事だと理解してもらえたようです。

 普通部生が大きく成長し社会に出て次の時代を切り拓いてくれることを切に願っています。有難うございました。

 

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