2018年度 目路はるか教室

1Eコース

半導体のお仕事、海外でのお仕事

昭和52(1977)年卒業株式会社 ジェイデバイス 代表取締役社長

江本 裕 氏(えもと ゆたか)

 株式会社ジェイデバイスでの授業に参加頂きありがとうございます。今井先生、引率ありがとうございました。今回の授業内容は大きく4部構成にしました。生徒の興味が題名から海外とテクノロジーに二極化しておりましたので以下の構成にしました。1)自己紹介、海外10年間で得たこと 2)半導体とは。実験室・ラボの体験学習 3)ある米国会社の株主宛英文レターの和訳クイズ 4)生徒の自己紹介文中の質問に全て回答しながら自分の「生き様」を語り生徒たちのこれからの生き方の一助にして頂く、と言う構成でした。

 第一部:自己紹介と海外10年間で得たこと:英語は単なるツールであって、やはり重要なことは自身の専門能力・アイデンティティー・コミュニケーションしたいという能力であると伝えました。第四部につながりますが、私は学生時代にあまり勉強しなかった反省があり、その反動をビジネスマンになってから勉強したという事を伝え、人間一生勉強できるチャンスがあること、言い換えると手遅れは無いのだということがわかってもらえたらと思います。また、慶應義塾のネットワークで助けられたビジネスマン人生についても触れました。途中でアメリカ人のcolleagueにTV会議で入ってもらい15分ほど生の英語のやり取りを体感し、彼に質問もしてもらいました。4名ほどが積極的に質問し、その中には驚くほど本質的な質問(何故、アメリカ人のJohnさんと江本さんが一緒に仕事をしているのですか?)もありeye openingでした。

 第二部:半導体と体験学習:最初に基本的な半導体に関する講義を行いました。その後3班に分かれ、スマホ内部のX線観察→CAD設計→熱解析・応力解析を実体験してもらいました。やはりラボの実体験は、今流行りのX製作所を彷彿させるらしく喜んでもらえたと思います。

 第三部:英文レターの和訳クイズ:AmazonのJeff Bezosが2017年に株主に宛てた名文があり、その一部分の和訳を10分ほどクイズしました。辞書もスマホも無い中で、活発に相談しあい、概ねの意味を理解する力は到底中学一年生とは思えない素晴らしい才能を感じました。普通部らしい、自由闊達さはまだまだ健在だなと感じ安堵をおぼえました。

 第四部:自分の「生き様」:普通部1年から大学卒業までどう生きるか? いつ勉強するか? 何を勉強するか? 人を愛するということとは? の三つのテーマについて語りました。先ず、私の場合は高校から勉学以外にかなり打ち込んでしまった大反省を語りました。一方で、「いつ勉強するのか?何を勉強するのか?」と言うテーマに対しては、社会人になってからの方が勉強したという私の説明には意外そうな表情が多くかなり反応が良かったと思います。最終的には、Noblesse obligeであり、ひとを愛するということ にまで話題を広げました。

 全体的な生徒に関する感想は、自己自我を持っている子供が多い(良いこと)、突然英語の環境に入れられても軽挙妄動や大騒ぎしない、また予測していないことへの対応能力が秀でている、と感じました。中学一年生の通常のスペックからすればちょっと高すぎるかなと思うことも結果的に、なんとなく全体感で受け入れている受容能力の高さは、さすが慶應の伝統であると感心しそして安心しました。

 これからも目路はるか教室が永く続くことを期待します。

 

前の講師を見る


2018年度トップに戻る


次の講師を見る