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2017年度 目路はるか教室 2Jコース

弁護士の仕事と将来の弁護士とは

鈴木 康之(すずき やすゆき)
昭和62(1987)年卒業 鈴木康之法律事務所

 この度、2年生の講義を担当させて頂き、弁護士の置かれている状況を、できるだけ実態に沿って話させていただきました。

 まず、弁護士の仕事は、あくまでクライアントの利益を法律上可能な限り、最大限に擁護すること、どちらが正しいのかを判断するのは裁判官であることを話しました。但し、自らの価値観にあわない案件の受任を断る自由はありますが。

 その上で、法曹資格を得るには、原則として、法科大学院の過程終了により司法試験の受験資格が得られ、司法試験合格後、1年の司法修習を経て、2回試験に合格する必要があります。それがどの程度の倍率なのか、法科大学院への進学の倍率、新司法試験の倍率、2回試験の不合格率などを説明しました。

 司法修習終了後の進路としては、7割近くが弁護士となります。現在の弁護士の登録人数が3万9000人程度ですので、このペースで弁護士登録がなされた場合、14歳の生徒が27歳で弁護士になると仮定し、そのとき(2030年)の弁護士の登録数は5万人を超えると予想されています。新司法試験の導入により大幅に受かり易くなった反面、弁護士の人数もここ15年で倍増しているため、当たり前といえば当たり前なのですが、資格を取れば安泰ということはなく、現時点でも、専門能力だけではなく、会話や営業力も含めた総合的な人間力が必須であること、従って、弁護士数が更に増加する13年後は、その傾向が強まるのではないかとの私の考えを説明しました。

 では、弁護士になってからはどういう仕事をするのか、生徒達は、ドラマの影響か、弁護士というと刑事事件を相当数受任しているイメージがあったようですが、刑事事件はあまり受任しない弁護士が多く、一般には、民商事・家事事件の受任が弁護士の業務の中心となります。しかも、大手渉外事務所や外資系事務所に所属する弁護士と、伝統的な訴訟業務を中心に業務を行なう事務所に所属する弁護士では、前者は所属弁護士が数百名もおり、その業務は細分され高度に専門化されており、企業の依頼により、予防法務やスキーム策定などが中心になるのに対して、後者は所属弁護士が数名程度のところが多く、業務も個人から依頼される訴訟を中心とした民事、家事事件を取り扱うことが多いことを説明した上で、初任給等の経済的事情を、当たり障りのない範囲で話をしました。また、大手渉外事務所に入った場合、一般的には、5、6年で留学し、外国の法律事務所で1年程度働いて帰国後にパートナーとなるケースが多いがようですが、法律事務所の大半を占める伝統的な事務所に所属した場合には、東京だと5年から7年程度で独立開業するケースが多い旨や、最近では、それ以外にも、インハウスローヤーや公務員になる人たちも多くなっているので、そのような進路もあることも伝えました。また、弁護士は、非常勤ではありますが、上場会社の社外取締役や監査役に就任することも多く、その場合、経営判断に関与できる面白さがあること、しかし反面、弁護士はあくまでクライントのサポート役であり、リスクは少ないが、自ら価値を創設して業務を主体的に動かすことは難しい脇役である旨を話しました。

 AIについては、将来弁護士業務の一部は、AIに取って代わられる可能性は高いが、司法の一翼を担っている弁護士の仕事が消滅することはないのではないか、また、対応としては、①AI化されない高度な部分を目指す、②AIよりも単価の安い仕事に甘んじる、③ユーザーが極端に少ない領域(AIのコストがペイしない)に参入するなどの方向性が考えられるが、②の選択肢はないというようなことを話させて頂きました。

 今回、残念ながら土曜日に講義を行なった関係上、裁判所の見学などが出来ませんでしたが、講義終了後、私の事務所の中を生徒に案内しました。普通部の頃、悪戯ばかりしてよく怒られた私が、後輩に講義をするとは思いもしませんでしたが、多少なりとも将来ある普通部生の一助になれば幸いです。


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