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2017年度 目路はるか教室 2Iコース

2027年の僕たち...「グローバル」と「イノベーション」を考える

李 道明(り みちあき)
昭和58(1983)年卒業 Cross Frontier

 私が普通部を卒業してから34年が過ぎました。社会人になり、日本のバブル経済後の「失われた20年」と呼ばれる経済環境の変化も経験しました。その間、インターネットが我々の生活を根本から変え、「グローバル」と「イノベーション」という2つの言葉が重要なキーワードとなりました。この2つを普通部生に対して共有し、将来起点で職業を考える材料にしてほしいと思いました。

 目路はるか教室の「目路」とは? 辞書を調べると、「目に見える範囲」という意味です。では、「将来の予測が難しい状況で、どうすれば見える範囲を広げられるか?」が普通部生への最初の問いかけでした。ヒントとして、鳥の眼、虫の眼、魚の眼という3つの物の見方を紹介しました。

 鳥の眼は高い視座から全体を俯瞰すること、虫の眼は注意深く詳細を観察し分析すること、そして魚の眼は、潮の流れを体で察知し自らの方向を定めていくことを表します。

 「鳥の眼」の演習として、人口動態予測や、世界における日本の経済規模について、事実を直視しました。中国、インドの急成長の一方、日本の成長鈍化など、あまり明るい事実が見えてきません。「少子高齢化を支えていくのは自分達の世代。厳しい時代が来そうだな...」という意見が生徒からも出ました。

 しかし、変化の時代はチャンスでもあり、危機は機会になり得ます。

 世の中の変化を捉え、自ら機会を創ることでイノベーションが生まれるのです。実際に世界の10大企業のうち半数は、私が普通部生の時には存在しませんでした。AmazonやGoogleがわずか10〜20年の間に我々の生活を一変させました。それを実現させたのは起業家の創造的な発想と実行力です。この授業では、イノベーションを「創造普及」と定義し、その本質を考えました。最も重要なことは、多くのイノベーションは失敗から生まれているということです。新しい価値を創るのには、設計図も地図もありません。「トライし、失敗し、修正し、努力する」 これしか方法はありません。これを体感してもらうために「マシュマロチャレンジ」というゲームを行いました。スパゲッティと少しの材料を使い、チームで塔を建てるゲームです。皆さん楽しみながら、失敗と修正を繰り返しましたね。楽しく進めるうちにあっと言う間に3時間が過ぎていきました。

 さて、21世紀に重要な能力は4Cと言われます。

1)Communication(コミュニケーション)

2)Collaboration(協力)

3)Critical Thinking(論理的思考)

4)Creative Thinking(創造的思考)

 慶應義塾の塾生は元来、コミュニケーションと協力は得意です。これに論理的・創造的思考を組み合わせることで、将来の可能性がずっと広がるはずです。また、中学2年生の皆さんは、大学卒業まであと8年ほどの時間があります。その間好きなことに(学問、スポーツ、アート、何でも)とことん時間を使ってほしいです。これが「虫の眼」の鍛錬になります。

 そして、自分を磨くために世界の様々な考え方の人達と交流してほしいです。旅行や放浪ができれば良いですが、今はインターネットがあれば情報は入手でき、どこでも、誰とでも繋がります。そして世の中のトレンドの変化を体で感じてください。「魚の眼」の鍛錬です。私も新しい働き方を実践し、価値創造のために引き続き頑張りたいと思います。

 これからの10年、20年、国境も年齢も関係なく、想いを共有した人達が様々な手段で協業し、世界を変えていくでしょう。そして今では想像もできないような新しい価値、新しい仕事が創られるはずです。目路はるか教室で出会った諸君とはきっと世界のどこかで(インターネット空間も含めて)再会できると思います。その日まで、3つの眼を鍛え、世界と交わる機会を創り楽しんでください。皆さん、またお会いしましょう。


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