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2017年度 目路はるか教室 1Iコース

検事の仕事

上原 龍(うえはら りゅう)
昭和63(1988)年卒業 法務省大臣官房参事官(刑事担当)

 平成29年11月10日に23名の普通部生の皆さんを法務省・検察庁に迎えました。

 午前9時頃から午後零時過ぎ頃までの約3時間という限られた時間だった上、皆さんに少しでも沢山のことを経験してもらいたいと考えて、色々と詰め込みすぎたこともあり、少し慌ただしいものだったかもしれません。結局、トイレ休憩をとることもなく終わってしまいました。

 振り返ってみると、説明に言葉足らずのところもあったかと思いますし、何より、皆さん一人一人と、もっと話をしたかったところでした。

 それでも、限られた時間の中ではありましたが、皆さんにとっては馴染みの薄い刑事司法の世界を体験してもらったことで、皆さんが何かを感じる機会になってくれたのではないかと思っています。

 今回、私は、コースの紹介で、検事の仕事について、「『楽しい』仕事とは言えないかもしれません。」と書きましたし、教室の中でも、同じような説明を繰り返しました。仕事の紹介としては違和感があったかもしれません。

 犯罪を扱い、被疑者・被告人の人生を左右することには、重い責任が伴います。間違いがあってはならず、とても厳しいものです。皆さんも、法廷という場で、被告人が裁判を受けているのを見て、そして、判決を受ける瞬間を見て、厳しさの一端を感じてもらえたのではないかと思います。皆さんにお見せすることはできませんでしたが、真実を明らかにする場面としての捜査には、また違った厳しさがあります。そのような仕事について、「楽しい」と表現することには、躊躇もあるのです。

 それでも、真実を求め、社会正義を実現するという検事の仕事は、社会にとって必要不可欠な仕事だと思っていますし、その仕事にやり甲斐を感じています。そして、その仕事をすることで、自分が成長できていることは有り難いことだと感じています。

 少し分かりづらい話ではないかとも思っていたのですが、皆さんの感想文を読ませてもらうと、私の伝えたいことを理解してもらえていたようで、嬉しく思っています。

 私は縁あって検事の仕事に就きましたが、世の中には様々な仕事があり、仕事の魅力というのも様々です。大事なことは、やり甲斐の感じられる仕事を見つけ、誇りをもってその仕事をすることです。そして、それぞれの人が、自分が選んだ仕事に一生懸命励み、自分の持ち場を守るという意識をもって責任を果たしていくことで、いい社会が作られていくのだと思います。

 皆さんには、仕事に就くまでに沢山の時間がありますし、無限の可能性があります。是非、自分に合った仕事を見つけてください。

 教室でも話したことですが、皆さんは、普通部に入ったことで、高校受験や大学受験の負担と悩みがない中で暮らしていくことができます。それは、特権とも言うべきものです。私は、その特権がなければ、今の仕事に就いていなかったのではないかと思いますし、その特権に感謝しています。皆さんも、是非、その特権を意識し、大切にしてください。

 そして、これから、将来について沢山悩んでください。もちろん、ずっと悩んでいる必要はありません。勉強をしたり、部活をしたり、それ以外にも、沢山のことに挑戦してみてください。そんな悩みや経験が皆さんを導いてくれると思います。

 皆さんが、これから色々なことを経験し、悩みながらも成長していくことを楽しみにしています。そして、いつかどこかで、また皆さんにお会いできることを楽しみにしています。

 最後になりましたが、貴重な機会を与えてくださった世話役の江木先輩、担当をしてくださった小澤先生、当日引率をしてくださった今井先生、大森先生に、この場を借りて改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。


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