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2017年度 目路はるか教室 1Eコース

デジタルメディアの「○」と「×」

木村 玄一(きむら げんいち)
昭和53(1978)年卒業 ゴルフダイジェスト社 社長

 1990年代後半から始まったデジタル通信革命により、社会だけでなくメディア業界も大転換期を迎えています。今では身の回りにデジタルデバイス(TV、スマホ、PC等)があふれ、必要な情報や欲しいコンテンツの多くが無料で得られるようになりました。こういう時代だからこそ読書(アナログ)の時間を大切にして下さい。本を読むと知識や語彙が身に付くだけでなく、創造力や思考力も鍛えられます。

 今年の春先、目路はるか教室講師の指名を頂いた時に、タイトルや内容よりも「もっと(紙の)本を読もう!」というメッセージを先に思いつきました。デジタルネイティブ世代といわれる皆さんは、インターネットのある時代に生まれ、もの心がついた頃にはスマホやタブレットが近くにあって、これからもネット社会とともに成長していくわけです。もちろんITの進化はこれからも続くし、それによってもたらされる恩恵は計りしれません。反面、デジタル機器への依存度がどんどん高まると、記憶や思考だけでなく判断までスマホやAIに委ねて、人間はそれに従って行動するだけになってしまうことが懸念されています。誰もが出版社や新聞社、テレビ局になれる時代、マスメディアは必要なくなるのか?ARやVRが進化すると人は外出しなくなるのか?2045年AIが人類の知能を超える(シンギュラリティ)と何が起きるのか?人類史上これほどデジタルが進化した時代はないので、いろいろな予測はあるけれど、どうなるのかはまだ誰にも分かりません。はっきりしているのは、経済も社会もそこで暮らす人々のライフスタイルも大きく変わる事と変化のスピードがものすごく速いという事です。こうした激動の時代を生きていく上で大事なのは、いろいろな物事を「○」か「×」だけで判断せず、「○」もあれば「×」もあるというように、それぞれの功罪をまずは正しく認識することです。そのようにして自分の主観、価値観を養うようにして下さい。

 当日の講義では、自己紹介に続いて『国内メディア業界と出版界の話』『活字メディアの歴史と日本語について』『デジタルの登場〜進化』を説明した後、デジタルメディアの「○」と「×」について皆で議論しました。多くの人が手を挙げて積極的に発言をしてくれたことがとても印象に残っています。なかにはこちらがハッとするような意見もあり、教える側の自分が新たに気づいた事もありました。講義のあと、残りの時間を利用して全員にVR(バーチャルリアイティ)を体験してもらうことが出来て良かったです。VRはこれからのデジタルメディア表現手法の一つになっていくに違いありません。

 これだけ話をさせてもらって言うのも何ですが、実は自分が普通部生だった頃、いつも先生や両親から「もっと本を読みなさい!」と言われていた事を思い出します。むしろ社会人になってからいろんな本を読むようになりました。そんな自分が普通部生にメディアの話をして「もっと本を読もう!」と言うのも何だか奇妙な感じがします。比較するまでもなく、皆さんの方がしっかりしているのは間違いありません。昔の娯楽メディアといえばTV、ラジオ、雑誌(漫画)、映画でした。今ではこの他、ゲーム、動画、SNS等さまざまなコンテンツがスマホやPCで自由に閲覧できるようになりました。近い将来は、AIが書いた物語やニュースをAIが要約して読みあげてくれる時代が必ず来るでしょう。情緒豊かな人であるためにも読書はきっと役に立ちます。もう一度メッセージを繰り返します。「本を読もう!いい本との出会いを大切にしよう!」

 末筆となりましたが、今回場所をご提供いただき、また当日見学会まで企画していただいた大日本印刷(株)出版メディア事業部の皆さまへ感謝申し上げます。


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